暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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どんどん大きく……ううん、強くなっている気がする」


 その光景を見ながら、訓練以外にも強くなっていると実感する出来事に、内心大きく頷いた。訓練が激しく厳しいものだからだろうか、時々彼を原因とする出来事がより一層(おだ)やかで(なご)むのだ。それが六課という集団を堅固にしているように彼らは感じた。
 そんなことを思いながら再びコタロウの方を向くと、また少し変化を見せていた。


「お、こうすると楽だな」


 ヴィータがコタロウの背中を支えに自分の背中を預けているのだ。彼を背(もた)れのようにしている。


「……ヴィータ、それじゃコタロウさんに迷惑が――」
「別にいいだろ。なぁ、ネコ?」
「はい。私は構いません」


 コタロウの膝枕で片眉を吊り上げても声を出さなかったフェイトは、なるべく落ち着いて彼女を注意するが、彼は特に嫌がってはいないようだ。


「……ム」
「なんだ、フェイトも寄り掛かりたいのか?」
「そ、そんなこと、ないよ!」
「ふ〜ん」


 語尾を強めてしまった彼女の言葉を、ヴィータは意識することなく聞き流した。ヴィータはフェイトとは直接向き合っているわけではないため、フェイトが若干赤くなっていることには気付かなかった。
 だが、ヴァイスの次の言葉が彼女たちを突き動かした。


「でも、コタロウさんはネコって言われている割に、立場が逆ッすねぇ」
「逆、ですか?」
「ええ。普通ならネコが膝の上に乗るものでしょう? こう、頭や背を『撫でながら』」
『――ッ!!』


 コタロウが「なるほど」と頷き、自分の1つしかない手とシャマルの頭を見比べ、彼女の頭に手を持っていこうとしたとき、


『それはダメ (アカン) !』


 フェイトは彼の腕を、はやては彼の肩を掴んで、動きを止めた。
 背中に寄りかかっているヴィータが驚くほどの速さだ。


「え? はやて、フェイト?」
『……ハッ』


 我を取り戻したかのように2人は目を見開くと、ぱっと彼から手を離した。


『いや、これは……そのぅ……』


 手が所在を定めることができずにわたわた動き、最後に後ろに回して、はやてとフェイトは乾いた笑いをする。
 互いの行動より、自分の行動を問い詰められるほうが気になり、笑うあいだくるくると頭を回転させ、


「ア、アカンよ、コタロウさん、簡単に女の子の頭を撫でるやなんて」
「う、うん! よくないと思う」
「……申し訳ありません。至りませんでした」


 シャマルを膝枕し、ヴィータの背凭れと化しているコタロウは身体を動かせず、軽く頭を下げると、2人はぎこちなく頷き、くるりと背を向けた。


[はやてちゃん、フェイ
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