暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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った思考の持ち主でない限り、誰が見てもこれはアレであると。


(ここまでは想定内……決めたなら堂々としなくちゃ!)


 彼が上官に対し、目を合わさないことは以前から知っていたため、いくらか彼の顔を真剣に見れた。彼女は微笑むことはせず、意を決したように彼を見返す。


「お昼のお弁当を作りました!」
『……へ?』
「私にですか?」
「はい! 雪辱(リベンジ)です! 感想、お願いします!」
『…………』


 味見もしたので大丈夫です! と胸を張る彼女は、自分の料理が下手なのは、以前、コタロウから、


――『まずいです』


 と言われたときから自覚、あるいは再確認していた。
 そして、数日前に「……まずい」と彼の口から漏れたことで思い出し、『彼にそれだけは払拭させよう』と、もう一度自分の料理を食べてもらうと決意したのだ。
 食べてもらうのだから、六課にいるうちはこっそりはできない。彼女にとってはもう、『誰かに、コタロウのために弁当を作ったことが知れる』という羞恥より『コタロウに自分の料理がまずいと思われたまま』のほうが比重は高いのだ。
 (よこしま)で、下心(したごころ)があるというものではない。ただ、純粋に、感覚で言うなら『はやてや同じ守護騎士たちに食べてもらう』と同じ感覚だ。
「わかりました。では、昼食後に述べさせていただきます」
 だから、彼がそういうと心がすとんと落ちて、それだけで報われた気がした。緊張していたのは恥ずかしさではなく、断られたらどうしようという不安からだ。


『…………』


 だから、シャマルは彼のテーブルから離れるために後ろを向いたとき、皆がぽかんとしていることに狼狽したり、顔を上気させることはなかった。


「えーー!?」


 リインあたりが声を上げるのも想定内だ。
 最近はコタロウの性格に対して耐性が出てきたのか、声を上げて驚く人は少ない。


(……ん?)


 だが、はやてとフェイトからなにか妙な視線を送られたことに対しては、シャマルは首を傾げるしかなかった。






魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第32話 『だからこそ』






「それは何なんですか!」
「……ハムです」


 リインは今、コタロウが用意したハンカチの上に正座して、たしたしとそのハンカチを手でたたいている。一方、コタロウは彼女がこちらへ飛んできてぐいぐいと頬を押すので、ハンカチをテーブルに敷き、座ることを勧めたあと、彼女が声を上げたので自分がいま食べようとしたものを答えた。


「違います! これです、これ!」
「お弁当ですね」
「……ごちそうさまぁ」


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