暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第31話 『太陽と月』
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 古代遺物管理部機動五課が今年の4月から劇的に変化を遂げたのは5月中ごろ、つまり(ひと)月半経ってから、ようやく管理局内で噂されるようになった。
 無論、ジャニカ・トラガホルン、ロビン・ロマノワ両二等陸佐をよく知る人から見れば、一週間、いや三日も経たずにそうなることは疑いの余地がなかったが。
 機動五課が、彼らが来る前まで、査察官を丸め込み、実に巧妙に私腹を肥やし、且つ排他的な課であったことは、ある特定の年齢以上で怠惰な人たちの間では有名な話であった。
 なおのこと悪いのは、知らない人間はそのままに、知っている人間を懐柔、あるいは脅迫の上で排斥する手段――主な対象は新人――を取っていることである。
 そのなか当時、部隊長であったロマノワ二佐と部隊長補佐のジャニカ()()は、訓練校で偶々見かけた新人サングネア・ノヴァクが五課から自分たちの部隊――陸士910部隊――に来た時、局員としての夢と現実のギャップで打ちのめされる以上に目の輝きを失っていたため、こちらから『機動五課』という単語は決して出さず、世間話からやんわりと情報を聞き出した。
 実際には直接本人が五課の不正を話したわけではなく、今日までの身の上話をする過程で目の動き、話し口調、呼吸から『何かあったであろう』という疑いを見抜いた。
 そこからジャニカは――ロビンは自部隊の指揮に専念――本局に提出されている機動五課の不正の糸を紡ぎあげ、一度(ほど)かれた大きな縄を再構成したのだ。その縄には、罪に染まった人間ほど掴まりやすいコブが付いており、機動五課のトップから中堅クラスの人間まで、多くの人間が釣れた。
 彼はかつての上官であるリヒト・ダヴェンポート二等陸佐から助力を得、上官の名前は隠しながら、足元からではなく、トップの首から切り落としにかかった。
 機動五課隊舎部隊長室へ――部隊長室へ向かう間、内情を知らない人間に「数日後に残っているのは君たちだけかもしれない」と不敵に笑いながら彼らを不思議がらせ――彼はロビンと訪れ、機動五課課長に罪状を延べ、相手のくだらない言い訳を無視し、解雇を言い渡した。


「機動五課課長ヘルバ・アコニート三佐、貴方の奥さんには既に伝えておきましたよ。『あと数日後に離婚すれば、旦那の退職金のほとんどを貰うことができます』と。さすがに局に()()()貢献した先輩殿()を無一文で放り出すようなことは致しませんから」
「貴様ッ――」
「もちろんもちろん。貴方がおよそ20数年間で築き上げてきた信頼から得た人脈を使用して私に挑んでも構いません。ただ、私が言いたいことは……」


 気迫と共に自分の体内にある全魔力を練り上げる。


「隊舎入り口からこの部屋まで徒歩で3分32秒かかった。1分32秒でココ
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