暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第30話 『それはあなたです』
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ロウさんに異変がないのは、それらが影響しているのでしょう。呼吸回数も極端に少ないです。これは1年やそこらで身につくものではありません」


 平地での訓練や実戦では酸素摂取能力は身に付きづらく、高山を想定した気圧の低い場所での長時間行動で身に付き、強靭な心臓は平地でも身に付くが、高山に比べればそれほどでもない。
 医務官として人体に詳しいシャマルは、これほどまで環境に依存しない瞬発力と持久力を兼ねた人間を見たことがなかった。現在、管理局にいる人たちは、そのほとんどが平地での訓練で、身に付く体力しか持ち合わせていないのだ。しかも、戦闘を主としない人間がそれを身に付けているということにさらに驚く。
 彼の発言からするに、高高度対策であるということは間違いない。そう思うと、フェイトが彼への質問時に考えたであろう言葉が頭をかすめる。


(コタロウさん、貴方は一体どんな環境で過ごしてきたのですか?)


 彼が機械士で、出向がほとんどである限り、過ごしてきた環境が一カ所で無いことは分かっていた。だが、それでもトラガホルン夫妻が以前こぼしていた、劣悪な環境というものはどういうところなのかが気になってしまう。人間関係だけでなく、環境そのものに。
 ただ、それは決して聞かないと心に決めていた。


(貴方なら、聞けば答えてしまいそう)


 あの夫婦だから話すというものではなく、単純に『質問したから答えた』という結果に終わるのが、シャマルはなんだか怖かったからだ。
 彼に近づけば近づくほどそれが分かってしまう。リインは分からないが、少なくともヴィータはその考えに至っているだろうと彼女は思いながら、今はそれを考えるべきではないと考えを改め、頭を振ってモニターを見なおした。


『…………』


 上空にいるフェイトは彼から距離を置き、出現させた魔力弾を使い果たして、肩を大きく上下させて呼吸をしていた。
 左手にバルディッシュを持ち、右手のひらを顔に当て、ぐいと汗を拭う。しかし、辛そうな表情はうかがえず、微笑()みがこぼれている。そして、バルディッシュをスタンバイフォームに戻して、両サイドの髪留めをほどいた。
 なのはたちはどうしたのだろうかとおもうなか、彼女はツインテイルをやめ、後ろで1つに結いあげた。ふるふると頭を振って乱れないことを確認する。


(そこまでか)


 戦っている最中、極稀に髪の毛が(うるさ)いと思うときがある。おそらくフェイトはその状態に陥ったのだろうと、シグナムは彼女のポニーテイルに目を細め顔を緩めた。
 次に彼女はカートリッジを3ロードして、魔方陣を足元に引き、スタンバイフォームを解除したハーケンフォームの状態で相手に手を(かざ)す。


『砲撃!?』



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