暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第30話 『それはあなたです』
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教えてないんじゃ……)』


 勝ったことがないというのは、同時に負けたこともなくて、防戦一方というのは攻撃を教えてない、あるいはコタロウ自身が攻撃することを拒んだのではないか。と思わずにはいられなかった。
 『戦うことで大切な人を守る』というのは聞いたことがあるが、純粋に守る技術だけに特化した人物を見たことがない。
 彼女たちがよく知るユーノ・スクライアでさえ、バインド等の敵の拘束する魔法を持っている。多分、ホテル・アグスタで捕え損ねた人物との攻防戦は誰かの助言と独自で考えての行動だったのだろう。普通のワイヤーを使用して拘束したと彼は言っていた。



――「でも初めてね。ネコが実戦をしたなんて」
――「ああ、そうだな。少なくとも出会ってからは」
――「え、うん。うん? そ、か。いや、思い出したよ。初めてだ、僕。模擬戦以外で人と戦ったの」
――『快挙だ』



 だからあの時、そんな会話をしていたのだ。それにデバイスである傘を使わずに戦ったのは今日話したところからも考えることができる。


「あれだけの戦い――いや、守りか。あれだけの守りができて、細かい魔力制御、アタシら顔負けの身体能力をもっているのに。魔力量が低すぎて正規の武装局員じゃないから、デバイス使った戦闘は緊急時以外規定違反? なんだそれ?」


 フェイトの息をつかせない魔力弾の応酬と剣による連激を、傘の形態を変えて柔軟に対応し、彼女の体力を削ぎ落としていくコタロウ。しかも、彼は最小限の動きであるため、体力消耗は僅かで相手の魔力を擦り取る。


(魔力量の低い人間が魔道師になれないのをこんなに不毛に感じたのは初めてだな)


 そんな彼を見ながらヴィータは戦いたい反面、狼狽して眉を動かす。なんとも複雑な気分であった。
 だが、その雨のように2人の間に降り注ぐ魔力弾のうち、その1つがおかしな軌跡を描いていることに気が付く。
 なのはもそれに気付いた。


「フェイトちゃん、気付いてない!」


 それはフェイトの背後の死角を捉え、そこからコタロウを狙っている。今までもフェイトの背後からの魔力弾による攻撃はあったが、かなり早い段階で彼女は避けて対応していた。
 今回はその動作を取ろうとする気配がない。
 体力消耗による集中力の低下で、想像以上に自分の体力が削られていることに気付いていないのだろう。精神力で戦っているといってもいい。
 なのはは瞬時に念話で呼びかけようとするが、呼び掛けることで逆に集中力が切れてしまう可能性があり、躊躇してしまった。彼女、いや2人の周りにはなのはでさえ訓練に使用したことの無いくらいの魔力弾が飛び交っている。
 その一瞬の戸惑いで、魔力弾はフェイトのすぐ背後まで迫ってきていた。



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