暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第30話 『それはあなたです』
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――――試験開始 0分
in
(
イン
)
eyewall
(
アイウォール
)
自分の攻撃を受けるのであれば、もう少し強く、もう少し早く、次撃を行なえばよく、攻撃を避けるのであれば、さらに加減をすればよい。
フェイトはそう考えていた。
彼女は今まで執務官として現場調査や情報収集が多く、シャリオに手助けをしてもらってはいるものの、だからといって戦闘が多いとは限らず、少ない。
それに、六課へ出向してからも自分から向かっていくような戦闘は少なく、指導がそのほとんどを占めていた。
これより、特に相手の実力が知れない場合、初撃を重要視するのは当然といえば当然であった。触れること事態が危険という人物でもない。
「0」
彼女は振りかぶり、一気に間合いを詰め――一般局員が認識できる速さ――ハーケンフォームで体重を乗せながら相手の頭上から振り下ろす。
「……へ?」
音が耳に届くとともに、自分の視線は下のほうにいるなのはたちを捉えていた。こちら見ているシグナムを目が合う。そして、フェイト自身がそうであるように、モニター越しで見ている人たちも、目を見開いていた。
(何がおきたの!?)
だが、模擬戦をしている人と模擬戦を見ている人とは観点が違う。前者は当惑で後者は驚きである。
フェイトは彼が予想外の行動を起こしたため、認識できず、一瞬何が起こったのかわからなかったのだ。体勢を立て直し、彼を真正面から見ると、攻撃する前と変わらない自然体の構えである。
もう一度、今度は見逃さないように重心を僅かに傾け、
ハーケン
(
バルディッシュ
)
を振り上げる。
ハーケンが頂点に達し振り下ろそうとした瞬間、彼が動いた。
コタロウも和傘を振り上げ、これからフェイトが描くハーケンの軌道上を僅かに外れた位置に平行に添え、ハーケンが軌道を通り過ぎようとしたときに和傘をその
腹
(
・
)
に当てて、軌道をずらし、自身に当たるのを防ぐ。
この時の魔力で覆われたハーケンと傘が擦れる音をフェイトは初撃で聴いたのだ。魔力同士の擦れる音は荒い
鑢
(
やすり
)
のような乱暴な音ではなく、涼やかで根元から先にかけて音程の変わる鉄琴よりも滑らかな音色がした。
(これは想定してなかったな)
最近は確実な防御をエリオたちに教えていたため、このような防御方法があったことをすっかり忘れていた。いや、聞いたことはあるが、実際見たことがあるのは初めてかもしれない、とフェイトは思う。
(――それならっ!)
上からではなく、横から攻めようとハーケンを握りなおし、横一閃に薙ぐ。
彼はフェイトの初動では動かず、薙ごうと刃が向かおうとしたときに動き、ハーケンと傘を擦り合わせ軌道をずら
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