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久遠の神話
第六十七話 人相その四

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「だからね」
「それでか」
「ええ、言わないわ」
 全くだというのだ。
「戦いを止めることはね」
「では剣士の戦いをか」
「それを止めて欲しいわ」
「代わりのものがあればな」
 意外と話せる感じだった、話を少しだけ聞けば。
「俺は喜んでこの戦いを捨てよう」
「そうしてくれるのね」
「今以上に激しいやり取りが出来るのならな」
 命を賭けたそれをだというのだ。
「俺はそれでいい」
「剣士以上に」
「楽しめる戦いだ」
 まさにそれだというのだ。
「それがあればな」
「わかったわ、それじゃあね」
「それを見つけてくれるか」
「私の願よ」
 ここでこうも言う。
「このことはね」
「そうか」
「ええ、そうよ」
「なら見つけるのだな。しかしだ」
「それでもなのね」
「俺は他の奴等とは違う」
 他の剣士達とはというのだ。
「戦いを心から楽しんでいる」
「それが願いそのものでもあるわね」
「そうだ、それにだ」
「人を殺めることは」
「趣味ではないがな」
 それは好きではないというのだ。
「しかし戦うのならだ」
「それも当然だというのね」
「そうも考えている」
 こう言うのだ。
「それもわかっておくことだ」
「わかってるわ、もうね」
「ならいいがな」
「ではまたね」
「会おう」
「そうしましょう」
 スフィンクスはこの言葉を最後に気配も消した、そしてそのうえで加藤もこの場を後にした、後には何も残ってはいなかった。
 次の日アメリカからあるニュースが届いた、そのニュースは。
「民主党の大統領候補が決まりましたか」
「うん、あの人だよ」
 スペンサーに領事が答えていた、場所は領事館の領事の部屋だ。
 そこでだ、彼は己の席の前に立つスペンサーにこう述べていた。
「あの人になったよ」
「予想通りですね」
「人気が違うからね、それに」
「資金力も」
「掲げる政策も今の合衆国に合ってるし」
 それにだった。
「実績も確かだ」
「州知事として」
「全てが備わっている」
 領事はこうまで言った。
「後は最後の選挙に勝つだけだ」
「大統領選挙そのものに」
「これまでは予選に過ぎない」
 民主党から大豊漁候補の指名を勝ち取るまではというのだ。
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