第五十話 遂に開催その十
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「いつも最善の方法なんてね」
「ないのね」
「ええ、人間はいつも最善の方法には気付かないし選べないのよ」
「今もですか」
「そう、確かに自分で気付いて来るのが一番だったけれど」
「それでも来たことは」
「いいことよ」
それはというのだ。
「よかったわね」
「そうなんですね」
「あんたの今は次善ね」
最善の次のそれだというのだ。
「友達に言われて来たから」
「それになるんですね」
「そうよ、それでもかなり最善に近い次善よ」
「そうですか?」
「だって、言葉だけ聞いて来ないことも出来たでしょ」
部長はコーラを飲みつつ琴乃にこうも言った。
「でしょ?違う?」
「まあ他に行くところもなかったですし」
「それはそれで適当にあちこち歩いて時間潰せるでしょ」
「そうですね、文化祭の準備中ですし」
「それこそ見て回ればね」
それで見て回ることが出来るからだとだ、部長は今の学園の中の状況も踏まえて琴乃に話していく。琴乃もそれをじっくりと聞いている。
「時間は潰せるわ、けれどあんたはね」
「楽器のチェックに来たからですか」
「最善じゃないにしても」
「限りなくそれに近い次善ですね」
「自分で決めたからね」
ここに来てそして自分の楽器を自分でチェックしようとだ、決めたからだというのだ。
「私なんかよりずっと凄いわよ」
「いえ、そんな」
「だって私ここで怠けてるだけだから」
それでだというのだ。
「コーラ飲んでお菓子食べてるだけだから」
「もうやること全部済んだんですよね」
「ええ、クラスの方もね」
そちらもだというのだ。
「それですることがないから」
「コーラにお菓子ですか」
「やっぱりキャラメルコーンよね」
袋の中のカシューナッツに似た形のそのお菓子を食べながらの言葉だ。
「コーラには」
「部長さんそれがお好きなんですか」
「ええ、スナック菓子はね」
「あとコーラも」
「お酒を飲まない時はこれか紅茶よ」
それも飲むというのだ、紅茶もまた。
「紅茶は何でも好きよ」
「ミルクもレモンもですか」
「ストレートもね」
それもだというのだ。
「好きよ、紅茶ならどれでもね」
「へえ、紅茶派なんですか」
「そう、日本の紅茶がね」
紅茶は紅茶でもそちらだというのだ。
「我が国のね」
「日本のですが、けれど」
紅茶はだとだ、琴乃は少し戸惑いながら部長に答えた。
「紅茶は」
「イギリスだっていうのね」
「そうじゃないんですか」
「だって、イギリスの紅茶はね」
部長はここでは少しだけ苦笑いになった、そのうえで琴乃に対して言うのだ。
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