暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡
第五十話 遂に開催その九

[8]前話 [2]次話
「ライブ会場の方もね」
「全部整ったからですか」
「それぞれのクラスに行ったか遊びに出たわ」
「それで部長さんお一人ですか」
「一年の娘達も同じで」
 二年生達と同じくだというのだ、それぞれのクラスか遊びに行ってそれでいないというのだ。
「あんたと私だけよ、今ここにいるの」
「そうなんですか」
「ええ、それであんたも自分の楽器のチェックしたらどうするの?」
「ええと、それからは」
 実はそこまで考えていなかった、それでこう言うのだ。
「どうしようかと」
「予定ないのね」
「夜までは」
「夜は皆飲むからね」
「どうしましょう」
「じゃあ百合する?」
 素っ気なくだ、部長は琴乃にこんなことを言ってきた。
「そうする?」
「百合ってまさか」
「そうよ、毛布もあるし」
 急に思わせぶりな笑みになってだ、部長は琴乃に言うのだった。
「丁度いいでしょ」
「私そういうのは」
「趣味じゃないの?」
「というか部長さんそんな趣味あるんですか?」
「冗談よ、そんなことはね」
「ないんですか」
「冗談よ」
 それに過ぎないとだ、部長は琴乃に笑って返す。
「私女の子には興味ないから」
「だといいですけれど」
「百合はないのよ」
 そういった趣味はというのだ。
「男の子だけだから」
「その冗談はちょっと」
「楽しめなかった?」
「本気かと思いました」
「びっくりしたでしょ、二人きりだし」
「はい、本当に」
「大丈夫よ、それに彼氏も一人だけだから」
 浮気もしないというのだ。
「そういうことはしないからね」
「部長さんってそういうところ真面目なんですね」
「そういうところはね、とにかくね」
「はい、楽器ですね」
「チェックすることはいいことよ」
 部長は笑顔で言う。
「いい心掛けじゃない」
「いや、クラスメイトに言われまして」
 それで来たとだ、琴乃は真面目に答えた。
「それでなんです」
「そうなのね、それでもね」
「いいんですか」
「そこで来ることがよ」
 他人に言われたこととはいえ、というのだ。部長は微笑みながらも賢者の顔で琴乃に言うのだ、それが目にも出ている。 
「いいのよ」
「自分で決めて来るのが一番なんじゃないですか?」
「まあね、それが一番よ」
 このことはそうだとだ、部長も認める。
「やっぱりね」
「ですから」
「けれど世の中は一番だけじゃないのよ」
 部長は微笑みながらこうも言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ