1
[4/5]
[1]次 [9]前 最後 最初
〇歳《はたち》にも満たない少女が立っていた。
「お疲れ様でした。あ、こっちは同じロングアーチの者です」
「アルト・クラエッタ二等陸士でありますっ。以後よろしくお願いしますっ」
「秋谷 玲二です。こちらこそ、よろしくお願いします」
第一印象。とにかく、若い。こんな子供まで現場にいるのかと思うと不安にしか思えず、しかしそれは表情に出さないように小さく笑みを作ることにした。
「クラエッタさんもヘリの操縦を?」
「い、いえ、今はヘリ操縦のライセンスを取得を目指して勉強しております」
マジか、と脳内で絶句した。ヘリを運転しようとしているのかこの子は。いや、確かにヘリポートにいる時点でそれとなく予測はしていたのだが。しかもジャケットである。気合入ってんな。
「おいアルト、あんま失礼かけるんじゃねぇぞ。明日からお前らの上司なんだからな」
「りょ、了解」
聞いてないよそんなの、と言いかけて玲二は咳払いをする。まさか来たばかりの派遣社員が先輩の上司など驚く他無い。
「アキタニさん。まずは寮の方に。荷物いつまでも抱えてる訳にもいかないっすよね」
「あ、ああ、そうですね。そうしましょうか」
何故だろう、同じミッドチルダなのに常識が違う気がする。この先本当に大丈夫なのかと玲二の心中が荒々しい波音を立てていた。
寮の部屋(二人部屋だったが一人で使うらしい)に荷物を適当に突っ込み、一日をかけて六課内を案内してもらった。異様に広かった印象がよく残っている。
昼食は食堂で。メニューに地球で使われている物が多くあった。これは何でも隊長陣(言われて意味がわからなかったが一応頷いておいた)が地球出身ということでわざわざメニューが出来たんだと言う。スゴイな隊長陣。父の実家が地球にあるので懐かしいような複雑な心境に陥ったのは仕方のないことだと思っている。まさか派遣先で地球のメニューを見るなんて思うはずがないんだから。
午後も六課の案内。ロングアーチという分隊の方達とは一通り挨拶をしてきた。振り返って真っ先に思ったのは、年齢層が若すぎる。それに加えて何となく“仕事先”と言う印象をあまり感じられなかった。いや、和気あいあいと仕事をするのが悪いとは言わないが、もう少し秩序は必要なんじゃないかと思ったのだ。
現在は部屋にて荷ほどきの真っ最中である。ヴァイスに「アキタニさん以外使う人いないんで好きに使ってくれて良いっすよ」と言われたが机も二段ベッドも固定されているここで模様替えでもしろというのか。別にしたくはないのでどうでも良かったが。
ベッドは下の段を使うとして、服などをクローゼットに入れて空になったバッグは上の段に置いておく。行儀悪いかも
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ