暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第28話 『ネコの傘』
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車のエンジンはバイクに積めない……みたいなもんか?」
「はい。そのような感じです」


 スバルとティアナは自分のデバイスを自作した時のことを思い出した。自分で設計し、パーツを買って、組み立てたのは今ではいい思い出である。
 だからこそ、彼女たちは気付いた。


「もしかして――」
「接合部品やパーツそのものが、自作……」


 こくりと頷く。


「これは部品を組み立てて作ったのではなく、部品そのものから、部品と部品を結合する締結部品――ネジのようなもの――まで、全て自作なんです」


 極論を言ってしまえば、とシャリオは言葉を繋ぐ。


「ただの鉄から組み立てたようなものです。なので、私が知る規格のどれにも当てはまらず、なおかつ一カ所一カ所統一もされていないので、部分部分で違う工具を使わなければならないため、分解なんてできなかったんです」
『…………』


 そう言って少し肩を下げる。フェイトは昨日コタロウが彼女に確認をとった理由が理解できた。あれは分解する工具を渡そうとしたのだろう。


「でも、逆に分解できたとしても元に戻せる自信なんてなかったんですが……」
「えと、でも設計書、だっけ? マニュアルみたいなものが一緒だったんだよね? 機能自体は分かったんじゃない?」


 自虐的なシャリオを見るのがいたたまれなくなり、フェイトは外装ではなく機能のほうへ話題を移そうと言葉をかける。


「あれは設計書という名の研究論文です」


 傘の柄を持ち「傘、共有文書出力(ライブラリ)」と唱えると、1冊の電子書類が出てきた。


「この傘の設計者は当時一等陸尉だったロビン・ロマノワさんと、二等陸尉だったジャニカ・トラガホルンさんです」


 この時点で彼らを知る人間はざわりと背骨に嫌なものが通り過ぎた。


「あの2人が『協力』してる時点で普通じゃねェな」


 ヴィータはこれは早めにご飯を食べてしまおうと急いで口に頬張り、準備を整える間、シャリオはまた首を横に振る。


「協力なんかじゃありません。『敵対』です」


 その書の題名を彼女は読み上げた。


「『傘 (潦) 作成設計書 第23版』……つまりこれ、あの2人が1年11ヶ月かけて研究、検討してはお互いに(あら)を指摘し合い、研鑚に研鑚を重ね、練り直してさらに相手の不備を貪欲に追求し、書きあげられた設計書です」


 実際の組み立ては1月、つまり作成に丸2年を要しています。とシャリオは告げる。初対面時に彼がこの傘に2年かけたと言っていたのは、彼の技術的な遅延ではなく、設計の綿密化に要した時間であったのだ。


「はっきりいって、理解することは私には無理です。デバイス作
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