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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第28話 『ネコの傘』
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第28話 『ネコの傘』






「付き合ってやりたいのはやまやまなんだが、統率者ともなると身体の自由がきかなくてな。悪いが、無理だな」


 まだちらほらと人がいる食堂の隅のほうで1人だけモニターを開き、トラガホルン夫妻と話しているコタロウがいた。
 彼女たちは彼らのやり取りはよく聞きとることはできなかったが、最後のほうで、


「なら、六課(そっち)の彼らに頼むのはどうだ?」


 という言葉が彼女たちの耳に入ったので少し気になった。
 通信が終わると紅茶を口にして、「ふむ」と考える彼に隣接するテーブルにフェイトたちは座り、視線を彼に向ける。
 別段、彼の行動におかしいところはない。だが、ヴィータとの食事を含む彼の今までの行動を考えると、どうも彼が六課内で起こす行動は、身内繋がりでないからか、それとも彼の性格故なのか、気になってしまい目についてしまう。それは一挙一動というものではなく、彼が主として動くとき、或いは彼の友達であるトラガホルン夫妻とともに行動をしているときに限定される。
 先ほどの会話内容から察するに、彼が六課内の誰かの命令で動いていないことは明確であり、モニター先の人間が断ったことから、彼自ら行動を起こそうとしていると予想がつく。


「お願いするなら、シグナム二等空尉、か」
「……ん、私か?」


 思わず彼の独り言に会話を成立させてしまった。
 ぴくりと彼の体が反応する。彼女たちの座る隣接するテーブルは丁度彼の後ろに位置しており、彼の襟足がはねたようにも見えた。


『(あ、驚いてる)』


 シャリオはデバイス調整で、フェイトは訓練で彼と行動することが多く、六課内では彼に近しい人間のうちに入っており、2人にとっては回り込んで見たい気もする。
 おそらく、少し目を見開いたくらいだろうが。


「勝手なる貴官への発言、申し訳ありません」
「いや、構わない」


 席を立ち、コタロウはシグナムに向かって敬礼を取る。
 彼はどうやら考えが時々口に出てしまうらしいと思いながら、彼女は敬礼を解かせ、顔を彼に向けずに視線を落とす。


「それで、私にお願いとは?」
「はい。この『(デバイス)』の動作確認と試験運転のご協力をお願いしたく」


 きらりとシャリオの眼鏡が光るなか、シグナムは彼の言葉に要領を得ることができず、詳細を伺うと、端的にいえば、


「……私がカギネ三士と実戦、いや高町教導官の言葉を借りるなら、模擬戦をするということか?」
「はい」


 彼が言うには1年に数回、自分の最低限度の訓練も兼ねてデバイスの動作確認を行なうらしい。限定付武装局員資格――シャリオが以前調べたところによると、資格試験自体は数年前に廃
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