暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第27話 『それは秘密』
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コが六課内で全く関心がない人物ではないことがわかるな」


 はやてたちは、その男がコタロウと分かった瞬間に目を見開き、その後すぐにたじろいで半歩後退する。リインが先程のエリオの言葉を漏らすと、コタロウはその時と同じように返し、彼女たちを緊張させる。ジャニカの言ったとおり、シャマル、シャリオを含め、全員がエリオたちと同じ反応をしたようだ。


「若い人間は本当に偏見が少ない」


 ジャニカはコタロウの話題を一切出さなくても、彼がこの課でどのような扱いを受けているのかが手に取るようにわかった。彼の普段の暮らしぶりも同様である。
 リインは彼の周りを螺旋を描くように飛び、無言で万歳をしたり、ふむふむと頷いていたりしていた。


「一見、執事(バトラー)にも見えるが、紳士(ジェントルマン)の風格だろう」
「はいですぅ!」


 この風格は出せないとばかりに、ジャニカ自身も頷く。彼の場合、押さえつけてもある程度の威圧感が(にじ)み出てしまい、鷹揚(おうよう)に構えることが難しい。年を重ねればそれなりに身につけることができるが、彼はまだそれほど重ねてはいない。


「そろそろ、か」


 車に乗り込み、エンジンをかける。
 全員がその言葉に、やっと入場を許された観客のような緊張感を覚え、息をのむ。はやてはつい先日、同ホテルでドレスを着る機会があった。しかし、それは警備目的であり、食事も無ければ、エスコートしてくれる人もいなかった。
 そう思うと、やはり羨ましいと思ってしまう。
 そして、その対象がロビンに導かれ、寮のドアをくぐってやってきた。


『…………』
「な、なんで、お前等――」
「いい? 我慢も秘密と同等に女性の美徳のうちの1つよ?」


 頬を染めながら歩く彼女は身長という外見を加味しても、もはや、少女と見紛うことができない姿であった。
 ヴィータの着こなしているドレスは、彼女の髪よりも濃く彩られ、歩調に合わせて微かに光る、細身を強調したものとなっており、彼女にしとやかさを与えている。靴もそれに合わせた色で、いつも履いているそれよりヒールは高いが、ロビンが事前に歩行を教えたのだろうか、歩く彼女にぎこちなさはない。肩にかかる透明度の高いストールは彼女に幽玄を与え、特徴とも言える赤い髪は、三つ編みが(ほど)かれ、緩やかなウェーヴを描きながら彼女の性別を決定付けていた。
 彼女に『可愛い』という表現は最も似合い(がた)く、


『綺麗』


 自覚なく相応(ふさわ)しい言葉を六課の面々にはかせた。
 おそらく、この周りの空気に圧倒されていないのは、慣れているトラガホルン夫妻と、この空気をなんとも思わないコタロウ、そしてコタロウを見て驚いたヴィータのみである
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