暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第27話 『それは秘密』
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さえ、一歩引いて彼らを見ている。


(なるほど、『演じる』ね)


 レストランでは自信がなかった行動も、ここでははっきりと自覚をもって自分が演じているというものを俯瞰(ふかん)で見れた。
 自分たちを思い思いに見るはやてたちを尻目に、ヴィータはコタロウに引かれ悠然と歩く。
 ドアを通ったところで、やっとはやてが口を開いた。


「ヴィータ、コタロウさん、どうやったん? その、食事は」


 コタロウはヴィータが立ち止まるのを見計らって歩みを止め、彼女が自分から離れはやてに振り返るのに合わせて、後ろを向く。ワンテンポ彼女に遅れて動く彼もまた、レディ・ファーストを間違えない。
 自分より身長の低い彼女が、右手人差し指を口元に当てるのを見て、次にどんな言葉が彼女の口から出るのか容易に判断ができた。彼も彼女に合わせ、同じ動作を取る。
 そして、ヴィータの念話で疎通を図り、彼は彼女とほとんど同じタイミングで、こう言った。


『それは秘密です』


 したり顔のヴィータもまた、コタロウがはやてたちに対し、どのような言葉遣いをするのかが分かっていたので、言葉をそろえることは簡単だった。
 彼女はまた、彼らに背中を向けてコタロウの腕に絡み、


「今度はあたしから誘うから、しっかりエスコートしろよ、ネコ?」


 彼は頷く。他にも、


「食べることも趣味にすることができそうだなぁ、それには色々な作法(マナー)を学ばねェと」


 などと、独り言を吐きながら、服装指定なくいける美味しいお店もあるのかなぁ、と思考を巡らせる。
 その背後を見送りながら、はやてはなのはとフェイトに視線を泳がせた。


「なのはちゃん、フェイトちゃん、どないしよう? ヴィータが遠いところに……」
『……う、う〜ん』


 2人は乾いた笑いしか返すことができず、彼女たちもまた、トラガホルン夫妻がヴィータに一体何をしたのか想像することはできなかった。






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