暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第27話 『それは秘密』
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「大抵の場合、嘘が上手いのは『女性』だ」


 スバルとティアナは挑戦的な目を向けられて、じとりと汗をかいた。先程までとは表情も違い、乾いた笑いをしてエリオからジャニカへ視線を移す。


「質問が不明瞭な場合は、素直に『(おっしゃ)っている意味がわかりません』と返しなさい」
「……あっ、はい!」


 話の内容は変わっても、話術の難易度は変わらず少し高めだ。上官からの質問に戸惑うことなく答える技術が管理局にいる限り必要であることを説明すると、ジャニカはエリオに再度同じ質問を投げかける。


「お、仰っている意味がわかりません」
「ふむ……『周りが女性ばかりで、相手の無自覚な発言で戸惑ったりしないかい?』と言えばわかるかな?」
「はい。あの……時々あります」
「結構!」


 手を招いてエリオが顔を近づけるのを待ち、手の届く範囲になってから頭を撫でた。


「正直や誠実を履き違えてはいけない。質問に常に正直に応えてしまうと、よからぬ結果を招きかねない。どの答えにもなりえる問いが仕儀(しぎ)に至らぬよう、予防線を張り巡らさなければ」
「あ、ありがとうございます」


 暇つぶしでお礼を言われることになるとはね。と、最後にエリオの頭をぽんぽんと軽く叩いてイスの()(もた)れに寄りかかる。
 そして、ジャニカは鈍く光る銀色の腕時計で時間を確認し、「そろそろか」と声を漏らした。


「良い暇つぶしになった。どうもありがとう」
『こちらこそ、大変勉強になりました』


 口々にスバルたちはジャニカにお礼を言うと、彼はそれを気にする様子も無くひらひらと手を振る。彼にとっては本当に暇つぶしでしかないのだ。大学で教授する良い練習になったくらいしか彼は考えていない。


「では、暇つぶしになってくれた礼を受け取ってもらおうかな?」
「あの、先程も申し上げましたが――」
「なぁに、金銭的なものは一切掛かってない。ちょっとした、驚嘆する(サプライズ・)贈り物(プレゼント)さ」
『……え?』


 ジャニカはもったいぶるように通路側を向くのに従って、スバルたちもそれに誘われるように彼に倣う。休憩所と通路の間にはスバルたちがジャニカに気付いたことからもわかるようにドアというものは備え付けられていない。そのため、人の足音は良く聴こえ、今回も誰かがこちらに向かって歩いてくるコツコツという靴音がスバルたちの耳に入ってきた。


「ジャン、用意できたよ」
「ん、良く着こなせてるぞ」
『……う、わ』


 特徴ある寝ぼけ目から彼がコタロウということはすぐにわかったが、普段寝癖ともとれる髪は適度な整髪料によって後ろへウェーヴがかかり、僅かに前にかかる髪とその目の調和から
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