暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第26話 『指を口元に、片目を瞑り』
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 ティアナ・ランスターが初めてティーダのオルゴールの音を聞いてから、数日は何事もなく隊長陣は教導を、新人たちは訓練に次ぐ訓練を繰り返した。夜練習は時々、体調を考えて休みになるパターンもあったが、それでも密度は濃く、熱した湯を冷まさないような訓練が続いていた。


「んじゃ、午前の訓練はこれで終わりだ」
『あ、ありがとうございました!』


 新人たちは、隊長たちもそれなりに動いているはずなのに、息一つ乱れていない事が不思議でならならいと、息を切らしながら思う。自分たちの個人練習に付き合うことで、夜練習がない時ぐらいしか休む暇がないのにも関わらず、何事も無かったかのように振舞っている。


「しっかりクールダウンして、シャワーを浴びた後、お昼にしようか」
『はい!』


 だが、練習が日を追うごとに激しくなってもこなせてしまう自分を考えると、その成長に拳を握り締めてしまう。過大評価をするつもりは無いが、初めの頃に比べると随分動けるようになったと、新人たち、そして隊長たちも自信を持って言うことができる。もちろん、(はやし)し立てるように聞く人間は六課にはいない。


「それぞれの訓練記録とその編集記録をレイジングハートさんに転送しておきました」

<ありがとうございます、カギネ三等陸士>


 また、上空から全員の動きを捉え、記録した後、傘を使ってふよふよと降りてくる寝ぼけ目の男、コタロウ・カギネの行動に驚くことも()()()なった。八神はやてが話す彼の経歴を聞けば、データ収集の正確さ、隊舎内を放浪しながら所々を修繕する技術などは彼の所属する電磁算気器子部工機課の人たちにとっては当然であることが理解できたからだ。加えて、ティアナの過去と劣等感から発生した(わだかま)りが()けると同時に、彼に対する一種の緊張も(ほど)け、親密度も幾分か上がった。
 エリオとキャロは「コタロウさん」と以前のままであるが、ティアナが彼のことを「ネコさん」と呼ぶようになったことが、なによりもそれをあらわし、


「あ、ネコさん」
「はい」
「朝、小耳に挟んだんですけど、ヴァイス陸曹が外出でいないのでしたら、お昼一緒にどうですか?」
「ご迷惑にならないのでしたら、ご一緒させていただきます」


 食事に誘うことも、特に戸惑いはない。
 彼は全員のクールダウンと着替えが済むのを待ち、一緒に食堂へ向かうことにする。






 向かう途中、今日の夜の訓練が高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの急遽入った調査依頼によって中止になったことを告げ、午後の訓練に力を入れるからとヴィータが(おど)し、新人たちを苦笑いにさせた。


「おー、な
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