暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第26話 『指を口元に、片目を瞑り』
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助手席からはロビンが、運転席からはジャニカが降りてきて、挨拶を済ます。ジャニカはディナー用のダークスーツを着こなしているが、ロビンはドレス姿ではなく、局員規定の制服だ。


「それでは、着替えましょうか」
「え、あ、でもあたし――」
「ん、5着持ってきた。サイズは合うはずだ」


 一式全部ある。と、ジャケットを脱いだジャニカが各種ケースを運んでくる。


「サイズはネコが教えてくれました。彼は見るだけでおおよその採寸を取ることが可能ですから」


 そのおおよその差分率はあえて言いはしなかった。
 ジャニカとロビンはヴィータの部屋へ赴き、ケースを置く。


「レディ・ヴィータは別として、あんたはどうあがこうとも変われないのだから、努力はするなよ」
「くどいという言葉が最も似合わないのはネコくらいのものね。早く出ていきなさい、ジャン」


 返事をする間もなく、ドアは閉まった。


「えと、あの――」
「さて、それでは、全て脱いで頂きましょうか?」
「あ、はい……って、はい?」


 公衆浴場で、人前で脱げたのは用途が入浴なので恥ずかしくはない。だが、何故だろうか、同性でも着替えの為に服を――ましてや下着まで――脱ぐのは、どうしようも無く恥ずかしいことに今気が付いた。付け加えるなら、それをじっと見られているのだ。
 ヴィータは耐えきれなくなり、おずおずと口を開くと


「向こうを向いてもらって、い、いいですか?」
「それが一般的な反応ね」


 さも当然というようにロビンは切りかえす。まるで、そういわれるかを待っていたかのような反応である。


「も、もしかして、揶揄(からか)って、ます?」


 制服を脱ぎ、シャツに手をかけ、前ボタンを中ごろまで外してから、彼女ははたりと気付き、すらりと背の高いロビンを見上げる。
 彼女と目が合うと、相手は左手人差し指を口元に、片目を瞑りながら、


「それは秘密」


 コタロウのような感情を見せない表情で応えた。
 そして、後ろを向き、取り揃えた品をケースから出し始めた。


「貴女の(あか)の似合い具合は、言わずもがなね」


 緊張の為か、ヴィータは自分の着る下着、ドレス、ヒール、ドレスグローブに至るまで、寸分たがわずぴったりなサイズであることに違和感を感じることはなく、それを告げた人物のことなど頭の隅にも残らなかった。





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