暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第24話 『首肯、凪の如し』
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それ」
「それを決めるのは私ではありません」


 考える様子もなくコタロウは即座に答えた。


「なのは、さん、ですか?」
「付け加えるならば、ランスター二等陸士、ナカジマ二等陸士を教導している皆さんとその本人です」
「まぁ、あそこでヴィータ副隊長もフェイトさんも止めなかったってことは私たちが悪いんですよね……でも! でもですよ?」


 ゆっくりとスバルは顔を上げた。


「もう、動けないって見ても分かるのに、あそこで気絶させる必要があったんですか!?」


 コタロウがそれほど遠くにいないのにもかかわらず、声が大きくなる。彼はスバルの声量に驚くことなく真っすぐ彼女を見て、表情からまだ彼女の言葉が続きそうだと、即座の回答を控えた。


「あんなにティアは頑張っていたのに、ここに来る前だって、一生懸命で、訓練校でだって、ずっと、ずっと頑張ってたんです! それをまるで、まるで、認めない人への見せしめみたいにしなくてもいいと思います!」


 立ちあがって訴えかけるスバルに、コタロウは顎を引く。


(感嘆、あるいは肯定調。でも、何か僕に意見を求めようとしている? 高町一等空尉を機械的見地で話したほうが良いのだろうか? だったら、その前に……)


 若い人間ばかりだからだろうか、六課にいる人間のほとんどは表情がとても豊かで、少しずつではあるが、コタロウに判断力が付き始めていた。
 彼は顔をスバルに向きなおす。


「高町一等空尉は頑張っていないのでしょうか?」
「…………」


 彼女は彼の脇を通りコップをゴミ箱に叩きつけ、そのまま隣にある自販機を思い切り殴りつけた。


「どうしてそういうこと言うんですか? そりゃあ、なのはさんだって頑張って、い、ると思います。いつも私たちのこと見てくれますし……でも、ティアのほうが、ティアのほうが頑張っていると思います!」


 拳が自販機に手首までめり込み、じわりと中の水分が流れ出た。
 引き抜くと手には一切怪我はなく、自販機から黒や茶色の液体が流れ出し床を汚す。吹き出る事はなく、2人とも服にかかるという事はなかった。


「失礼します」


 それだけ言ってスバルは休憩室を後にした。
 コタロウは自分の手に持つコップをゴミ箱に入れてから、


「……なるほど」


 こくりと頷いた後、つなぎのファスナーをジジと開け、内側に備え付けてあるまるで網目のように張り巡らせている大小様々な工具の中から適した工具を取り出して口にくわえ、傘を片手に自販機の修理に取り掛かった。






(なんだろ、ちょっとスッキリした)


 スバルはそれが自販機を殴りつけたからなのか、あるいは自分の想いを誰で
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