暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第24話 『首肯、凪の如し』
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めになのはに口を開いたのはコタロウだった。


<確かに頂きました>

「ありがとうございます」


 彼はなのはのすぐ近くに着地して、報告をするとぺこりと頭を下げ、敬礼をする。彼だけがいつもと変わらない挙動だ。なのはの次の指示を待つ。


「コタロウさん、あとフェイトちゃんもヴィータちゃんも先にお昼に行っていいよ」
「わかりました」
「……ん、ああ」
「……なのは」


 再度コタロウは頭を下げると建物から飛び、傘を差してふよふよと降りていった。


「なのは――」
「ごめん。フェイトちゃん」


 たまらずフェイトが右手を差し伸べようとするが、なのはに背中を向けられてしまう。


「……行こうぜ、フェイト」
「だって、ヴィータ」


 ヴィータとなのなの間にいるフェイトは2人を何度か交互に視線を移すと、出した右手を軽く握りしめ、胸元に添えて大きく深呼吸をする。


「うん……」


 頷いた後は、なのはと相対(あいたい)するように背を向けて歩き出すヴィータを追って、もう一度ドアを閉める前になのはの背中を一瞥して、静かにドアを閉めてそこを後にした。
 なのはは2人の足跡が段々と遠ざかるのを聞きながら、モニタを開いて先ほどのスバルとティアナとの模擬戦の内容を確認する。いつもなら、自分の視点ではない個所からのデータでも自分の視点から見ることができたし、第三者としてみることもできた。
 しかし、今日の模擬戦は第三者、つまりスバルとティアナと戦っている相手が自分ではない誰かと戦っているようにしか見えなかった。見えたのは開始すぐの自分の射撃くらいである。


「ひどいなぁ、これ」


 息をつくと、また少し冷静になれた。


(……どっちがひどいんだろ)


 モニタから視線を外すと、ヴィータとフェイトが建物からでて、隊舎へ向かって歩いているのが目に入る。フェイトが視線をこちらに向けたが、目を合わせようとはせず、またモニタへ目を移す。
 そのまましばらく繰り返し模擬戦を見たが、うまくまとめあげることはできそうにないと判断すると、モニタと閉じる。


「…………」

<マスター、少しお休みなられては?>

「ありがとう。大丈夫だよ」


 レイジングハートが光るのにあわせて笑って返すが、声のトーンは変わらず抑揚がなく、いつもと様子が違うことくらいしかレイジングハートは分からなかった。


(……どうしよう。心の整理が全然つかないよ)


 おそらく内面とは違って、表情は仮面を付けたように普通だろう。それは先ほど見ていた模擬戦の内容からでもうかがえた。
 彼女は完全に傾いた心、または感情を元に戻すことができずにいた。いつもなら不安に
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