暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第24話 『首肯、凪の如し』
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 スバル・ナカジマが彼女、高町なのはに出会ったのは11歳の頃である。
 その彼女に出会う前、スバルは自分よりも前には必ず姉を立たせる人で、何をするにも姉を前に置き、また姉の後ろを必ず付いていくという、いわゆるお姉ちゃん子であった。
 だが、なのはと引き合わせた事柄はそれからの彼女を大きく変えた。
 ミッド臨海空港の大規模火災事故だ。少なくともスバルが助けを求めた声の届く範囲には人はおらず、周りには瓦礫(がれき)と大火、そして巻きあげる粉塵(ふんじん)が彼女の傍に寄り添っていた。


「……痛いよぉ、熱いよぉ」


 何度か爆風に巻き込まれ、じわじわと体力と精神力を削り取られていたスバルは(ひざまず)き、ぽろぽろと涙を流す。




――(小さい頃の私は怖いことから逃げ、ただ(うずくま)ることしかできなかった)



 彼女は下を向いていたため、背後に空港の象徴(シンボル)である彫像があることに気付かず、思い切り泣くという力も尽きてで嗚咽する。




――(だから、自分が変わろうと思った出来事はよく覚えている)




 突然背後が暗くなったので振り向くと、自分が普段見ている家の天井よりも高い彫像が倒れ掛かってきた。


「――ッ!」


 スバルは(すく)みあがり、眼を閉じることしかできなかったが、一呼吸おいても自分には何も降りかかっては()ず、


「よかった、間にあった」


 眼を開いてみると、彫像は撫子(なでしこ)色の魔力光を放つバインドで固定され、スバルに影が降りかかっただけであった。
 彼女は声のするほうに視線を移し、その声の主を見た。


「よく頑張ったね。もう、大丈夫だからね」


 空中から急いでスバルに近づき、安否を確認した女性が『エース・オブ・エース』の異名を持つ、高町なのはという人であることを知ったのはしばらくしてからである。




――(その時のなのはさんは凛々しくて……)




「安全な場所まで、一直線だから」


 女性は彼女の安全を確保すると、天井を見上げ、左手に持つ愛機に指示を出す。
 スバルは自分を不安にさせない彼女の言葉、愛機が従い変形するさま、内包し練り上げられる魔力、そして見えない空へと愛機を構える物怖(ものお)じしない悠然な姿勢に目を奪われた。




――(格好良くて、優しくて……)




 その後、女性のまるで天井ごと空まで打ち抜くような収束砲撃は、そのひと本人の強さであるかのような力強さであったことをスバルは忘れない。
 彼女に優しく抱き上げられながら打ち抜いた穴を通り抜けてその場を脱し、彼女の背中にまわされ
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