暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第23話 『想念、昊の如し』
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話




「あの、さ。2人ともちょっといいか?」


 ホテル・アグスタから隊舎に戻り、新人たちに午後の訓練の延期を伝えた後、ヴィータがなのはとフェイトの背後から話しかけた。


「……あ、うん」


 その場にいたシグナム、シャリオも彼女の1つ音を下げた声に真剣さを感じ、加わることにする。
 彼女たち5人は休憩室に移動する間、誰一人として口を開くことはなく、飲み物を手に取りイスに腰をかけた。


「訓練中から時々、気になってたんだよ。ティアナのこと」
「……うん」


 紙コップの中に入っている飲み物は口をつけたばかりで蛍光灯の反射光が波立っていた。


「強くなりたいなんていうのは、若い魔導師なら皆そうだし、無茶も多少はするもんだけど、時々ちょっと度をこえてる」


 組んだ腕のなかの指をトントンとヴィータは動かし、なのはを見る。


「……あいつ、ここに来る前になんかあったのか?」


 ヴィータは今日、彼女の無茶を目の当たりにしたので、疑問に思うことは当然である。なのはは心の準備をしていたものの、話すのは心苦しく、顔を歪ませた。


「…………」


 その間、ヴィータはなのはが理由を話すにせよ、話さないにせよ、口を開くのまで無言を貫いた。
 一度目を細めた後、彼女は口を開く。


「ティアナのお兄さん、ティーダ・ランスター。当時の階級は一等空尉。所属は首都航空隊。享年21歳」


 話し出すと同時に1人の男性が休憩室に入り、飲み物をぐいと一気飲みして、すぐに出て行く。


「結構なエリートだな」
「……そう、エリートだったから、なんだよね」


 フェイトがなのはに目配せした後、彼女の代わりに口を開いた。
 ティーダ・ランスターが亡くなった原因は、任務中での出来事による殉職。彼の精密射撃は、なのはよりも優れ、二度撃ち(ダブルタップ)――一度撃ち抜いた場所に寸分違わず同じ箇所を撃ち抜く射撃術――を得意とする射撃は航空隊でも群を抜いていたという。加えて、彼はその射撃術で犯罪者を必要以上に傷つけることは決してしない、優しい人間であったらしい。


「ティーダ一等空尉の亡くなった時の任務。逃走中の違法魔導師に手傷は負わせたんだけど、取り逃がしちゃってて」


 しかし、当時の任務ではそれが裏目に出た。相手は必死とも決死とも言える覚悟で彼に挑み、致命傷を与え、逃亡を(はか)った。彼はその時の怪我(けが)が原因で帰らぬ人となった。


「まぁ、地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで、犯人はその日のうちに取り押さえられたそうなんだけど」


 なのはは捕らえられた犯人が、半身(はんしん)(こお)りつき、もう半身は黒く|焦
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ