暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第23話 『想念、昊の如し』
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切りがなく話しかけることができなかったコタロウが口を開いた。


「え、あ、はい」

(持ってきてくれるのかな?)

 駆けようとするスバルは足を止める。


「量としてはどれくらいになさいますか?」


 コタロウはするりと傘を抜いて開くところをみると、どうやら持ってきてくれるものではないらしい。


「えと、あの――」
「思い切り、被りたい、ので、バケツ一杯くら、いです」
「分かりました」


 息絶え絶えにも何とかティアナは立ちあがり、正面の男をみる。


「ランスター二等陸士、私が柄を手渡したら自分の名前を言ってください」


 こくりと頷くと、彼は口を開いた。


「傘、権限付与(オーソリゼーション)8等級(レヴェル・エイト)。どうぞ」
「ティアナ・ランスター」


 渡された傘に名前を答えるとちかりと柄の先が光る。


「量は出力する魔力とその制御で調節可能です。疲労が激しそうなので説明は省きます。私の後に続けてください」


 彼はティアナから一歩下がり、彼女の差した傘から出る。


「傘、夏昊天(なつのこうてん)、天気ハ雨」
「傘、夏昊天(なつのこうてん)、天気ハ雨」


 ティアナが言葉とともに魔力結合した途端に、傘の内側からシャワーよりも激しい水が降ってきた。


「――うわわ!」


 スバルも思わず距離をとり、ティアナはコタロウの言葉を思い出し、魔力を制御すると、応じて強さも治まった。


(え、え〜〜)

「ネコさん、これ、雨?」
「はい。各季節の空、春蒼天(はるのそうてん)夏昊天(なつのこうてん)秋旻天(あきのびんてん)冬上天(ふゆのじょうてん)から選択のもと、天気の生成が可能です。ランスター二等陸士、被ると言っていましたが、こちらで宜しいですか?」
「……はい。びっくりしましたけど、これぐらいで丁度いいです」


 上を向いて傘を除くと、口の中に雨が入り、喉を潤す。そして身体から熱が程良く奪われて、体力が僅かに戻っていく。


()ませる時は『傘、止め』と命令してください」


 そのまましばらく傘が生成した雨に打たれているティアナをみて、スバルは彼女の服が濡れたことにより透けてしまっていることに気付いた。
 右にいるコタロウはティアナのほうを向いたままだ。
 急いでスバルはティアナとコタロウの間に割って入り、彼のほうを向くが、


(目、閉じてる)


 横から見たときは帽子に隠れて見えなかった彼の目は閉じられていた。


「もし、服を乾かす場合は、『傘、天気ハ(はれ)(かぜ)ハ下』と命令してください。夏昊天のまま、気圧を変えて
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