暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第21話 『涕涙、霖の如し』
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△▽△▽△▽△▽
(ジャンに言われた通り、軽めにしたけど……)
「あの人、大丈夫かな」
地面には僅かにヒビが入っているのを見る。
(3トンぐらいってどうなんだろ?)
「このヒビを直してから……」
コタロウは僅かに身を
竦
(
すく
)
ませ、
(この出向先は今週まで、かな)
盗難を未然に防いだものの、取り逃がしたというミスの重大さに息を吐く。
△▽△▽△▽△▽△▽
自分から進んででた裏手の警備が、ひとつの逃避であることはおそらく自分の背後にいるスバルも分かっているだろうと、ティアナは思う。
「あのね、ティア」
「いいから行って」
それでも、彼女は踏み込んでくる。
「ティア、全然悪くないよ。私が、もっと、ちゃんと――」
しかし、今のティアナにはそのパーソナルエリアに踏み込んでくるのが、心を悟られてしまいそうで、嫌だった。
「行けって、言ってるでしょ!」
(アタシ、スバルに甘えきってる。こんなこと言っちゃいけないのに、言ってもスバルは変わらないから……)
「ごめんね。また、後でね、ティア」
背後の彼女はそれだけ言うと、エリオ、キャロたちのいる場所まで駆けていった。
(次に会うとき、アイツはまたしゃべりかけてくれる……ごめん、スバル)
ティアナは今の自分の行動にも、口に出した言葉にも嫌気がさす。
(私は死んでしまった兄さんを……生きているスバルも、エリオも、キャロも)
「私は……私は……」
壁に手を着いて、誰にも見せないように、顎を引いて下を向き、それを流した。
△▽△▽△▽△▽△▽
なんとか地上に出ることができたコタロウは、ここが裏手であることを確認した。
(まずは正直に状況を話し、今後の身の置き方を
伺
(
うかが
)
い……ん?)
ヴァイスからの指示を受けた集合地点まで戻ろうとしたとき、押し殺すような女性の声が聞こえた。
(ランスター二等陸士、泣いている?)
ちょうど遠目からティアナを横から見ることになり、
項垂
(
うなだ
)
れている彼女の顔から
雫
(
しずく
)
が見えた。
彼は相手の表情から何かを読み取ることを困難としているが、泣いているところを見れば、今は同じ課にいることから、その理由を問いかけるような考えは持ち合わせていた。
しかし、彼の場合、もう1つ親友から学びとっている。
――『いい? 女性が泣き顔を誰にも見せないように、項垂れたりして顔を隠している場合は、それがどんなに
霖
(
ながめ
)
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