暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第21話 『涕涙、霖の如し』
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大丈夫、いける!)

「シュート!」


 周囲の魔力弾を、腕を交差させて一斉に出力した。
 1つ、また1つとガジェット向かい、当たり、打ち抜き、爆ぜる。
 威力は十分で、的確だ。
 彼女はさらに、クロスミラージュの引き金を引き、魔力弾を放つ。
 それもまた、的確だ。




――『あぁ、手傷を負わせるのにやっとだったランスターの妹か』


 頭の中にノイズが入るまでは。






△▽△▽△▽△▽△▽






「ガリュー?」


 ルーテシアが異変に気付いたのは、ガリューが人に見つかり一撃で眠らせると報告があって間もなくのことだ。


「どうした?」
「……ガリューから反応が返ってこないの」


 意思の疎通をはかるが相手からの反応がない。
 もう一度呼び掛けると、応答が返ってきた。


「ガリュー!?」


 苦悶の意思が返ってくる。
 ゼストから見ても明らかにルーテシアが驚き、瞳が揺れており、動揺しているのがわかる。


「ゼスト、ガリューが……」
「ひとまず、連れ戻すんだ」


 揺れる瞳が彼に訴えかけ、連れ戻すことを提案する。
 彼女は念じて引き戻し、


『…………』


 2人は寝そべるガリューを見て目を大きく見開いた。
 (うめ)き声を()らせている彼は魔力を帯びない通常のワイヤーで手足を縛られているが、それよりも大きく注視する部分が2人にはあった。


「シールドは張らなかったの?」


 ガリューの腹部にはくっきりと足跡が残されていた。それは汚れで付いたものではなく、へこんでいるのだ。深さは軽く成人男性の親指第一関節ぐらいのものである。


「嘘、でしょう?」
「ガリューは何と?」
「多分、油断からだと思うけど、転ばされた後……」


 彼女が代弁するに、転ばされた後、警戒を持ってシールドを展開したが、展開部分で一番魔力結合の弱い部分を見破られ、相手の足の振り上げとともに蹴り崩されて、振り上げられた足は気づけば自分の腹部を踏み抜いていたという。
 振り下ろされた足の動きも見えなかったと付け加える。


紡解点(アンラヴル・ポイント)
「それは?」
「生成し始めたときに一番最後に魔力結合される部分、或いは生成した後一番結合が薄い部分のこと。これは誰にでもある」


 人間が作るものに完璧などないというように、言葉を吐き、ガリューを召還(しょうかん)する。


「そこを突かれたと? しかし、可能なのか?」
「うん。注意して見れば誰にでも見える」


 ほらといわんばかりに自分でもシールドを張り、連結の遅いところを見せる。



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