暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第17話 『言えばいいのに』
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、日常の彼を知っている人間がジャニカ、ロビン以外にいるのだろうか? と疑問に思うが、答える人間はこの場にはいない。


(まぁ、アリサさんの言ったとおり、気にしたら負けだな)


 そこで思考を打ち切って、思い切り身体を伸ばした。


「おい、リインそろそろ戻るぞ」
「え〜」
「え〜じゃねぇ。のぼせるぞ」
「はあい」


 ヴィータに合わせて、しぶしぶ彼女は立ち上がり、


「じゃあ、僕もそろそろでよう」
「……あ、僕も」
「え、エリオくん戻らないの?」
「あ、フェ、フェイトさんには先に出ますって言っておいてくれる?」
「う〜ん。うん、わかった」


 やんわりと断ることに成功したエリオは大きく息を吐き、コタロウに合わせて立ち上がろうとしたとき、


『…………』


 ヴィータ、リイン、エリオとキャロはコタロウから目を逸らすことができなかった。
 それは別に彼の腰にしっかりと巻いてあったタオルを注視したわけではなく、彼の左腕とその背中であった。
 4人はいずれも大切な人を護るためならば、何かを()す覚悟はできている。しかし、3人はまだ若く、1人は何度か死線を越えてはきたが現在まで五体満足でおり、そのために自分の何かを失ったことがなかった。
 この目の前いにいる男の左腕がないことは六課配属当初からわかっていたが、それは制服越し、布越しである。
 しかし今はそのようなものはなく、裸である上半身がよく見え、彼の五体満足でない姿がはっきりと確認できた。
 彼の左腕、義手の接合部は日常生活に支障をきたすことなく処置が施されているものの、(おぞ)ましく、骨がある部分は連結箇所なのか黒くくぼみ、異質を放っていた。
 そして、彼の背中、厳密には左肩から平行に右腰骨までには熱された大きな鉄骨で押しつぶされたような跡が残っており、それに沿うようにリベットの跡が背後に残されている。
 彼等はこのようなものを()の当たりにしたことなどなかった。
 いつの間にかヴィータたちよりも前にいる彼は湯気でぼやけているはいるものの、幻想などではなく現実であることは先程エリオが前もって確認していた。
 また一歩彼がドアに向かって進むと、4人は思考が重なり、


『(身体の一部を無くした時以降、普通でいられるのだろうか?)』


 少なくとも彼はそれを体現していることは自明である。
 気付けばコタロウ以外は自分の左腕を握り、


『(……ある)』


 幻想なのではなく現実にあることを確認していた。






△▽△▽△▽△▽△▽






 お風呂から出ると余韻を楽しむ間もなく、探索機からの反応が見られ現場に急行する。
 ティアナはシャマル
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