暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第17話 『言えばいいのに』
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タロウの正面を陣取りざぶんと入り、ジトりと彼を見ても、いつも通りの寝ぼけ目でいた。


「ふ〜ん。コイツがねぇ」


 彼女の隣にリインも浸かり、一度瞳だけをきょろきょろ動かした後、


「い、い〜お湯ですね〜、コタロウさん」
「はい、リインさん」
「……お、お〜」


 本当ですぅ。とぱちくりと瞬きをしてまじまじとコタロウを見る。
 そして正面にいながらリインはエリオを同じ感覚に陥り、一度目を擦りもう一度彼を見ると、そこには確かに彼がいた。
 それからヴィータとリインも加わり、今日の彼の動向について問いただすと、2人も彼の口調が服装を着ることによってのみ起こることであると自覚し――ヴィータに対しては階級をつけていたが――始めは違和感に首を傾げたものの、彼の目を細めた表情と、柔和な口調から、とっつきにくさが抜けていった。


「お前、意外に普通だな」
「はぁ」
「どうしていつもその口調じゃないんですか?」


 リインは会話の間何度か同じ質問をし、そのたびに同じ受け答えをする真面目なコタロウをみてキャロはくすりと笑ってしまい、


「コタロウさんって、お兄さんみたい」


 つい、言葉を滑らせてしまった。


「コイツが兄貴ィ?」
「あ、いえ。すみません。というよりリインさんが妹みたいに見えて」


 初出動から帰ってきたときに思ったのはこれだったのだ。あの時の空気に良く似ており、はたから見れば自分のお礼に丁寧に答えただけにしか見えなかったが、自分が自分を俯瞰(ふかん)して見たとき、丁寧な言葉遣いを除けば兄妹(きょうだい)のように見えていた。


「わ、私が妹、ですか?」
「え、あう。すみません」
「それとアタシも若干その目で見たろ」
「……すみません」
「謝んな。認めてるぞ、それ」


 戻ったときの訓練が楽しそうだと不敵に笑うが、コタロウの身長が低いといっても、今周りにいる全員はその彼より低のだ。それを引き立たせているのは間違いない。
 だが、リインはぼそぼそと「ネコさん、お兄さん、ネコ兄さん?」と繰り返しているだけで、否定的な意見は出なかった。


(は〜、コイツ、なんだかんだあっても嫌われてなねぇんだな)


 ヴィータはこの捉えようのない彼が案外リインや新人たちに気に入られていることに内心感心していた。


(リインやエリオたちが子どもっていうのもあるが……というより、コタロウと一緒に風呂入るなんて誰がいるんだ?)


 はやてから聞く限り、コタロウは基本メカニックの下につき、ただ命令を聞いていただけで、ここ六課のように――今日の彼は休暇中であるが――彼を自由にさせる場所なんてなかったようである。
 機械士としての彼ではなく
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