暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第17話 『言えばいいのに』
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風呂に瞳をきらりとさせる中、シャンプーだけは、フェイトは頑として譲らず、


「頭は洗ってあげるね?」
「……う、はい」


 断らせない雰囲気を背中にずしりと感じた。




 フェイトに頭を洗ってもらう間は目を瞑ることができたため、どちらかというと落ち着いていられたが、


「じゃあ、一緒に入ろうか?」


 と言われたとき、とっさに念話で壁の向こう側にいる男性に話しかけてしまった。
 フェイトが自分に優しさを持って接していることはわかりすぎるほどわかっていたが、頭の中では六課初出動のとき以上に頭の中で警戒音が鳴り響き、どうにも治まりそうになかったからだ。
 なにせ、自分の背中には自分でない髪の毛とタオル越しでもわかる何かやわらかいものが触れている


[コ、コタロウさん!]
[はい。エリオ(・・・)さんかな?]


 そのため、コタロウの口調には気がつかなかった。


[あ、ああの! そちらの出口とは反対側に露天風呂がありません?]
[ありますね。というより、今、僕はそこにいるよ。外が見えますと書いてあったから]
[今から、そちらにいきます!]
[それはエリオさんの自由だと思うけど?]


 エリオは一方的に念話を切った。


「あ、あの。フェイトさん!」
「なに、エリオ?」
「僕、コタロウさんと一緒に入ります」
「……へ?」


 フェイトの間の抜けた声を聞く間もなく『混浴露天エリア』と書かれているドアを開けて、彼と待ち合わせている――実質既にいる――場所へ、もう少しで走ると言われてしまうかもしれない歩き方で行ってしまった。


「一目散やな〜」
「あれ、エリオは? 一緒にお風呂回ろうと思ったのに」
「あ〜、混浴露天エリアのほうへ行ったで? なんでも、コタロウさんと入る言うて」
「はぁ……」
「…………」


 はやての視線にあわせてスバルもそちらへ動かすと、


「フェイトさん?」
「あれは子どもの成長を認めきれない親の顔やな」


 フェイトが無言のまま、正面にある扉を見つめていた。





△▽△▽△▽△▽△▽






 エリオはドアを開けた後、女湯を覗かれないように設計されている通路を2回ほど曲がり、湯の温度と空気中の気温の差から発生した湯気の大きさが物語る広い湯船に着いた。
 湯は看板の通り乳白色(にゅうはくしょく)で、女性あるいは男性の身体を映らせないように施してある。
 人数はさほど多くはなく、年齢層は自分の5、6倍はありそうな人たちばかりで、その中に、水蒸気からか、あるいは髪を洗ったのかわからないが、いつもより落ち着いた髪の男性が目に入った。


「コタロウさん」

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