暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第16話 『オウム返し』
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トは微笑む。


「フェ、フェイトちゃん!?」
「え、いや。私たち以外にそんな表情見せるの、珍しいから」
揶揄(からか)わんといてぇな」
「ごめんごめん。あ、じゃあ私はこっちを片付けるから」
「う、うん。よろしくな」


 フェイトははやてが自分たち以外に表情をころころ変えるのがとても珍しく、つい揶揄ってしまった。はやてもそれは自覚しているらしく、


[まぁ、嬉しかったのは否定せぇへんよ。料理するのは好きやから]
[うん。知ってる。私も料理、頑張ってみようかな?]
[エリオやキャロに?]
[やっぱり、『美味しい』って言われると嬉しいしね]


 正直に嬉しいことを述べる。思えば、はやては料理をしたのが久しぶりであれば、『美味しい』といわれたのも久しぶりだったのだ。
 皆にも言われた言葉であるが、全員で声を揃えて『美味しい』といわれるのと、1人に面と向かっていわれるのとでは感じるものも違う。それが、見知った人でなければ一入(ひとしお)である。
 フェイトもそれは分かっているようで、エリオとキャロにそう言ってもらいたいと思っていたため、はやてには(かな)わないが、もうすこし勉強しようと内心頷く。


「八神隊長、汲んできましたー」
「おおきに。それじゃ、こっち持ってきてくれるか〜」
「はい!」


 スバルは少し小走りではやてのほうに向かってきたとき、


「スバル、足元!」
「……え? ――うわっ!」


 ティアナがおいて置いた小さなゴミ袋に蹴躓(けつまず)いた。
 汲まれた水は中身が飛び出て、はやてへ向かう。


「――はやて!」
「んぅ!?」


 フェイトが叫んだとき、はやては水がゆっくりと自分へ向かう最中、自分の重心が後ろへ引き寄せられるのを感じた。
 ぱさりと音が鳴り、自分の視界が鳶色(とびいろ)一色に染まると、首もとの下、肩のラインにあわせて優しく引き寄せられつま先が浮き、さわりと自分の髪ではないくすぐったいものを耳に感じる。


「ふぇ?」


 水を(はじ)く音が自分の目の前、鳶色の向こうで聞こえ、その水が落ちる音が耳に響いた。
 周りからは彼女がその背後にいる人の傘に守られたにしか見えなかったが、傘の中にいる1つの空間(せかい)の中、女性はやては自分が男性コタロウにほぼ抱き寄せられているに近い状況であることに気付くのに数秒を要した。彼女が感じたくすぐったいものは彼の髪だったのだ。
 コタロウは腕の力を抜いて、はやてのつま先を地面につけた後、傘を閉じる。


「す、すいません!」
「…………」
「ナカジマ二等陸士、片付けている最中は、足元を良く見たほうが懸命です」
「はい。すいません。も、もう一度汲んでき
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