暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第16話 『オウム返し』
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いように引き寄せようとするが、重心がキャロのほうへ倒れてしまう。
 スバルがとっさに2人の腕を掴もうとしたとき、


(――何!?)


 自分とティアナの間に風が吹き抜けた。
 それはエリオとキャロの隙間も通り抜け、2人の背後から、ぱさりという音が聞こえる。
 2人の背中はその音によってそれ以上湖のほうへ傾かないように支えられた。


「あ、え、えと」


 4人は自分たちの間から出ている物に目を向けると、銀色で親指くらいの太さを持つ、鉄の棒のようなものが先程席を立った場所から伸びてきているのが分かった。


「も、もしかして、これ……」


 暗がりで向こう側はよく分からないが、多分向こうも驚いていることだろう。
 エリオとキャロは背中が優しく押されるのを感じると、身体が完全に陸に戻り、へたりと座り込む。
 そこで初めて自分たちを支えてくれたものに目を向けた。
 暗がりから色を察知するのは難しいが、このようなものを持っている人物は1人しかいない。


「これ――」
「コタロウさんの――」
「傘?」


 4人の目の前には傘の裏側である骨組みがよく見えた。
 スバルがふと傘の中棒に触れようとすると、テーブルの方を中心として傘が上がり、かしょんという音と共に一段、また一段を短くなっていく。
 その短くなっていくほうに視線をずらすとその音の鳴るほうから足音が聞こえてきた。
 また、ぱさりと音が鳴ると、それは閉じられ、いつものように彼の左腰に納まった。


「水辺は地盤が緩くなっているので滑りやすいです」


 気をつけてください。と言っている人の『人を助ける』という行動自体は普通であるが、普通ではない。






魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第16話 『オウム返し』






 コタロウの腰に差している傘がデバイスであるということを知っている人間は少ない。 この場では、なのは、フェイト、はやてと新人たち以外は知らなかった。リインも知らないわけではなかったが、改めてそれがデバイスであることを再認識する。
 彼は新人たちと一緒に戻り、


[私たちに向けられてるわけじゃないけど]
[すっごい見られてますね]
[いや、まぁ、さすがに]
[コタロウさん――]


 何事もなかったように自分の席に座りなおす。


『(なんで、この視線に普通でいられるのだろう?)』


 気付いていないのか、気にしていないのかと言われれば、コタロウの性格上、おそらくどちらもおおよそ正しい。


「……アンタのそれ――」
「デバイスだったの?」


 アリサとエイミィが声を揃え、



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