暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第14話 『かぎしっぽ』
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たいである。
 その間に会場は子どもたちの拍手に包まれ――キィはひらひらと手を振っていた――解散を始めていた。
 降り口は彼女たちのいる正面を通り過ぎたところにあるため、全員がそちらに向かって歩き始め、キィは最後尾についている。
 彼は帰り際、彼女たちに気付き、


「終わりました」
「みりゃ分かるわよ」
「見ていたのですか?」
「……すずか、私が許すわ、投げてよし」
「え、えーと?」


 キィは雰囲気のつかめない人間であるが、下手(したて)に出ることも無ければ、馴れ馴れしくすることも無いため、会話自体に不快感は感じなかった。


「で、どうだったのよ、私たちの誘いを断って観たヒーローショーは?」
「はい。大変観るに値するものでした」


 座ったら? と促された後、満足そうな光悦の表情はなく目を細くして、無表情に答える。


「そうはみえないんだけど……」
「あんなのどこがいいの?」


 子どもには楽しい催し物であるが、自分たちの年代にはそうは見えない。
 アリサはこのような熱を上げる人間の一端を知る機会が無かったため、1つの経験として聞いておくことにする。


「あの人たちは、観ている子どもたちに表情を与えてくれます」


 かさりと肩にかけている小さなバッグからチラシを出し、


「私は感情表現が苦手で、同時に相手の感情を表情から読み取ることも難としています」

 それに視線を落とす。


「ですが彼は、自身がピンチの時は子どもたちを不安にさせ、勝ったときは笑顔にさせます。それは私にも分かるくらい鮮明です」


 観ている最中、彼が何度か前に出て振り向いたのをアリサとすずかは思い出した。


「それに、着ているスーツは各所に(ほころ)びを修繕した跡がありました。動きが激しいのは観ていれば分かります。きっとあのショーを何回も行い、綻んだのでしょう。胸のマークもそうです、同じ構えをするために跡が出来ていました」


 キィはそのチラシのミラクルガオンの写真右下に今日の日付を記載する。


「私は確かに相手の感情を読み取ることは出来ませんが、あのスーツを大事にしていることは間違いなく、それに関わる人たちはその子どもたちのために一生懸命であることを疑いません」


 またチラシを折りたたんでバッグにしまう。


「直接感情は読み取れなくても、スーツという媒体を通せばあの方たちがどのような人物であるかは考察することは出来ます」


 そこで、ふぅと嘆息をし、


「今日の観光は大変満足のいくものでした」
『…………』


 キィの無表情は変わらないが、彼女たちは彼が本当にそう思っていることを雰囲気から察知することが
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