暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第7話 『お好きなほう』 Aパート
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つもコタロウが左腰に差していた傘は彼の鳩尾(みぞおち)拳2つほど下に水平に差され、テーブルのようになっており、先端の角(石突)は下がっているのか存在せず、スバルのローラーブーツはその上に片方だけほとんど分解されたかたちで横になっている。
 傘の『露先』はワイヤーのように伸びていた。
 彼は素早く右腰にある小さなバックに手を入れると、そこから交換部品と工具を出し交換していく。その速さはいつも見せるキータッチの比ではなかった。


「傘、ボード」


 そういうと、『露先』が片掌(かたてのひら)くらいのボードに形成され、コタロウはその上にローラー部の金具をおくと、ハンマーを取り出し、思い切り叩く。
 しかし、傘は半球状にデスクを囲っており、それが音をある程度吸収するのか、耳を塞いでしまうほどではなく、静かである。


「フレームがしっかりしているからか総じてテンプレートも問題なく、(ゆが)みも無し。傘、研磨布紙」


 今度は別の露先から『回転やすり』が形成され、コタロウはローラー部を研磨していく。
 ローラーの数だけ研磨すると、それを元に戻し、ローラーブーツを構築すると「ぷふぅ」と息を吐いた。


「両足、終わり」
『(……両足?)』


 彼らが初めに視線をコタロウに向ける前にもう片方は終わっていたようである。


「ナカジマ二等陸士」
「は、はい」


 現在、彼とスバルの距離は20メートルほどある。


「こちらを向いて(かが)み、手を出していただいてもよろしいですか? 最後に蛇行を確認しますので」
「は、はぁ。……へ?」


 ぱちんと傘を閉じて左腰に差し、彼は足元においたブーツをもって振り子のように腕を振って、静かにローラーブーツを手放した。
 すると、その片方のブーツは音もなく転がりだしスバルに向かって一直線に進んでいく。


「…………」


 ブーツは彼が手放したときの力以外は何も外力は加わっておらず、惰力で進み、ちょうど彼女の腕の中に入ったところでぽてりと横たわった。
 もう一方のローラーブーツを肩掛けバックから取り出し、同様に手放すと、これまた先ほどのローラーブーツと同じ軌跡を辿(たど)ってぽてりと横たわる。


「蛇行もなし。と」


 ナカジマ二等陸士、調整完了です。とコタロウはふわっとあくびをして、こしこし眼をこすりながらスバルに近づき肩掛けカバンを返した。


「あ、ありがとうございま、す」
「いえ。これが私の仕事ですから。あ、八神二等陸佐、テスタロッサ・ハラオウン執務官、おはようございます」
『お、おはようございます』


 コタロウは相手の表情から何を考えているかを想像するのが大変苦手であり、分か
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