第14話:ラブリー強襲
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した。
「全男子の敵め、許さん!」
「隣のクラスの川田さんに塚原さんだけに飽き足らず…!!」
「血祭りじゃ!血祭りに挙げろ!」
「汚い!さすが遠野汚い!」
という声が廊下中で響き渡る。おそらく他のクラスでは何事だと困惑した事態になっているであろう。鬼ごっことかくれんぼを平行しつつ、校内案内を行うというミッションが開始された。
………
放課後の学校。グラウンドからは部活動に力を注ぐ学生達の声。校舎からは吹奏楽部の奏でるたどたどしいハーモニーや演劇部の発声練習が聞こえてくる。
そして俺の前にある剣道場からは竹刀が防具に当たる音に部員の気合の声が聞こえてくる。俺は剣道場の入り口前の柱にもたれて、全速力で走ったために乱れた呼吸を整えようとしていた。目の前には、全力疾走で俺の息が上がる原因を作り上げた美少女が、満面の笑顔で空に向かって「ん〜っ♪」と言いながら背中を伸ばしていた。
「鬼ごっこみたいで面白かった!」
森島は先ほどの騒動をクラスの遊戯だと思っていたのだろうか。面白さにたいへん満足しました、との意思を俺に表情と言葉で伝えた。俺は疲れきっていて、「そ、それは良かったな」と息も絶え絶えに回答することしかできなかった。
「ねえねえ。ところで、みんなどうして走り出してきたのかな?」
森島が自分の顎に人差し指を当てて考え始める。俺はそんな森島の考えている様子を見て、あんたの俺に対する言動が原因だよ!、という回答が頭に浮かんだが、絶え絶えの息を整えるのに精いっぱいでそれどころではない。
森島は考えるのに飽きたのか、「ま、いっか!」と軽い調子で言って、剣道場付近の花壇の観察に乗り出したようだ。視線はパンジー、コスモス、薮蘭、…と移って「このお花、とっても可愛い!あ、これも!」と瞳をキラキラさせている。俺は、そんな様子の森島を見て、前世のある作品のキャラクターが浮かび、一つの懸念が生じた。
(花壇の花を、丸ごとお持ち帰りするようなことはしないだろうな…?)
そして一通り花を見渡して、それも飽きたのか、花壇から少し離れたコンクリート製の平坦な床に移動する。そこで右足のつま先を立て、「かいて〜ん!」と言いながらその場で回り始める。スカートも遠心力で浮かび太股が更に露になっていくのを見て、俺はビックリして余計に呼吸が乱れる。俺のあわてる気持ちを知らない森島は二回・三回くるくる回って、両手をビシッと体操選手のようなポーズを決める。すごいだろ!、という気持ちが伝わってきそうなドヤ顔をしながら俺を見る。感想でも求めているんだろうか。
そのままの状態で少々時間が経過した。俺は、そんなドヤ顔で俺を見ている森島
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