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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第二十話 拒絶
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抗心が彼女を動かしているんだから。

「う〜ん、それで僕にそれとなく開発を手伝ってほしい、と?」
「いいえ。それはまぁ、状況が許せばそうして欲しいけど……それはお願いとは別。あなたと簪ちゃんの意思に任せる部分よ。お願いっていうのはね……ただ、友達になってあげてほしいの」
「友達?」

 言いにくそうにしながらも告げられた内容はある意味意外なものだった。わざわざ姉がそういうことをお願いするということは、簪さんには友達が少ない、もしくは距離を置こうとするタイプなのだろうか……かつての僕のように。

「それは別に構わないけど……」
「……ありがとう、最近のあの子はどうも追い詰められているようで。でも、私だとまともに取り合ってくれないのよね。さっきも言ったけど、私に対して劣等感を感じてるみたいなの。でもね、確かに操縦技術はまだまだだけど……演算処理や情報分析、空間認識、整備なんかはもしかしたら私を超えるかもしれない」

 なるほど、ね。まぁ確かにこの偉大すぎる姉と比べられるのは辛いよね。僕の場合はちょっと状況が違うけど比べられてたのは事実だし、少なからず気持ちはわかる。でも、楯無さんは彼女のことをちゃんと見ているんだね、そして認めている。ならそれを素直に伝えるだけでいいはずなのに……うまくいかないもんだね。

「わかった、でもやっぱりさっきのお願いは聞けないかな」
「え?」

 僕の言葉に楯無さんは驚いた表情を見せる。彼女がこんな顔になるのは珍しいけど、それも仕方ないか。直前に受け入れられたことをいきなり否定されたんだから。そして、それだけ真剣だったんだろう。
 
「僕は、楯無さんに頼まれたからじゃなく、自分の意思で簪さんを見極めて友達になりたい。もちろん、友達なら力になるのは当たり前だよね?」
「……紫苑君」

 僕の言わんとすることを理解したようで、微笑みを取り戻す楯無さん。

「はぁ、格好つけすぎよ。そうやって見境なく女の子を口説くのね……。あなたに簪ちゃんのことお願いしたの間違いだったかしら」
「ちょっと、それは酷いんじゃない!?」

 あんまりない言い様だ。確かに……言ってて恥ずかしい台詞だったのは認めるけど! そこは流すところじゃないの!?

「はぁ……ほんとに失敗したかも」

 自分のセリフと楯無さんのツッコミに悶絶していた僕には楯無さんの最後の呟きが意味するところを正確に理解できていなかった。その本当の意味を知ったのは数日後のことだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 同居人の引っ越しが完了し、数日は一人で過ごすことになった。もちろん引っ越しといっても同じ寮内なので、フォルテさん達も交えて一緒に食事したり生徒会の活動的なものをしたりするのは変わらない。とはいえ、進級の準備な
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