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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第225話】
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 首を傾げ、目を細めて微笑む未来に――。


「浴衣、似合ってるな? 昔を思い出すよ」

「……えへへ。 やっと、誉めてくれたね? ……いっつもヒルトって馬子にも衣装って言ってたから……」


 そう言って頬を膨らませる未来だが、直ぐに笑顔になると俺から降り、スッと立ち上がって――。


「ヒルト、準備出来るまで玄関で待ってるからね? ……昔みたいに、公園で祭りをやってくれたらいいんだけど……」


 表情に少し影が落ちる未来。

 前までは近くの公園で櫓が組まれ、祭囃子の音色が聞こえてくるとわくわくしたものだが……ここ数年は、自治体の金銭面的理由でずっと出来ない所か、最近は隣の篠ノ之神社に取られる始末。

 今日行くのも、篠ノ之神社だが……名前的にも、明らかにあの【篠ノ之】関係なんだろうなと……。


「……しんみりしちゃっても仕方ないよね。 じゃあヒルト、玄関で待ってるからね?」


 無理矢理笑顔を作ると、未来はそのまま部屋を出て階段を降りていった。

 ……ちゃんと着替えるかな。

 一人ごちると、俺は着替えを始めた――。


――五分後――


 着替えを終えた俺は、二階から一階へと降り、玄関で待っていた未来の元へと向かう。


「よぉ、待たせたな未来」

「ううん。 ……ふふっ、ちゃんと襟元正さないと」


 そう言って近付き、少し形が崩れた襟元を正す未来。

 甘い香りが妙に胸をドキドキさせる。

 髪をポニーテールにしてる為か、何故かうなじが艶かしく見えた……。


「……はい。 ちゃんと正してあげたからね?」

「……悪いな、未来」

「ううん……。 ふふっ、じゃあ行こっ?」


 そう言って自然な流れで未来は俺の左手を取り、手を繋ぐ。

 伝わる柔らかな感触に、心落ち着かず、玄関の鍵をかけるのに少し手間取っているとクスクスと笑う声が聞こえてきた。


「わ、笑うなよな未来……」

「ご、ごめんね? だって何だか可笑しくって……♪」


 笑いを堪える未来を他所に、何とか玄関の鍵をかけると――。


「ほら、行くぞ? ……歩いて行ける距離だったよな」

「うん。 少し時間はかかるけど……たまには良いかもね♪」


 そんな風に話ながら、俺と未来は一緒に歩き出す。

 まだ夏だが、心地よい風が頬を触っていく……。

 この時の俺は、もうさっき見ていた夢の事を完全に忘れていた――。
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