暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第5話 『それを押すだけ』
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気づいたように質問の内容を確認すると、スバルはこくりと頷いた。
「していませんよ?」
キー操作について片腕がないことをリスクに感じないかのように応えた。
「私はもともとキーは片手で行っていますから」
工機課は片手操作が普通なのです。と傾げた首を元に戻す。
「な、何でですか?」
「覚えたての頃は両手で操作していましたが、いざ作業をこなすとなると、両手でキータッチをするわけにはいかないんですよ。同時に作業をこなさなければなりませんからね。なので、そういう時は片腕であることで効率が落ちてしまいますが、その時はキータッチの速さをあげればいいだけなので、別段困ってはいません」
「は〜。そうなんですか。あの、すいません、てっきり――」
「『片腕がなくなってから』練習をしたと?」
「う、はい」
片腕がないことを気にしなくてもよいとばかりに質問をしてみたスバルだが、コタロウはそもそも片腕があるない以前に操作については気にしていなかったようで、問題ありませんと付け加える。
「ということは、まだ速くすることができるのですか?」
なのは、他の新人たちも一緒にいるので会話に参加していることになり、エリオが頭ひとつ前に出してコタロウの方を向く。
「そう、ですね。先程は設定の確認をしながらなのでゆっくり打ちました。次からはもう少し速くなりますので、練習の時間を無駄にしないように努めます」
コタロウは少しでも新人たちの訓練に支障をきたすまいと思っていたが、新人たちの考えとは違っていた。
「あれで、ゆっくり……」
クゥ〜。とキャロの肩に乗っている白い竜も彼女の肩の上下に合わせて鳴く。
「ル・ルシエ三等陸士。そちらの肩に乗っているのは、竜の子供ですか?」
「え、あ。紹介おくれてしまいました。この子は私の使役竜のフリードリヒです。愛称はフリードで、皆さんもそう呼んでいます。フリード、ご挨拶を」
「キュクルー」
「よろしくおねがいします、ドラゴン・フリードリヒ」
帽子をとり、丁寧にお辞儀する。
「ク、ゥ〜」
フリードリヒはどうやらこのように挨拶されたことがないのか、素直に返事が出来ないでいた。
その感想は新人たちも同様で、フリードリヒ――小さく幼い動物(?)――をそのように丁寧に扱う人間に会ったことがない。もちろん、動物を扱うドクターは別である。
『…………』
コタロウは真っすぐ向かう先である訓練場をぼんやり寝ぼけ眼で見ていたが、ほかのみんなは一度視線を彼に向けてから前を向いた。
『(コタロウさんって、ヘンな人!)』
△▽△▽△▽△▽
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