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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第六十二章 覚醒せし宿り主《2》
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いな。なんだあれは」
「今はっきり分かってるのは、あの力が天桜長を飲み込もうとしてるってことだな」
 身体に巻き付くように手は央信へと伸びるが、央信が睨むと手は引っ込むように縮まる。
 まるで力を飼っているようで、神を宿している自分達とは明らかに違う。
 神以外の何かだ。
 誰もが息を飲み、恐れを持って天桜の長を見詰める。だから見せ付けるように、力を持って、その力を露にした。
 異様とも異常とも取れる混沌の力。
 常闇から来る使者の如く、央信の背後から世界を闇に染めていく。
 堕ちし神の祟り。その名は、
「――“天魔”。これこそ我が一族、織田瓜の力だ」
 吠え、天魔が顔を出した。
 闇が動き、影が踊っている。
 まるで央信の周囲のみが、この世の概念を無視しているかのように。
 天魔。
 第六天魔王とも呼ばれている。
 堕ちた神の負の念が産み出した産物であるため、確実にこの現実世界に害を生む存在である。
 例え堕ちたとしても神は神。圧倒的な力が存在し、力の制御が効かないことから神よりも力では上ではないのかと言われる程に。
 そんな天魔の存在理由。それは破壊である。
 全てを破壊し尽くし、無へと還すことが彼らにとっての極楽なのだ。
 ゆえに天魔は破壊の限りを尽くすが、天魔自体に実体は無く、現実世界に姿を留めるのは困難である。
 ならばと天魔は考えた。
 自身らの力を貸すが、代わりに身体に寄生する。
 実体としてではなく力として現実世界に存在を留め、自分達は力を貸していればいいのだ。
 寄生した者が自身らの力を使い、破壊を行ってくれればそれでいい。
 彼らにとって現実世界の流れなど一瞬の時でしかなく、時間ならば幾らでもあった。だからこうして、暇をもて余していてもなんら気にはならなかった。
「冗談じゃねえ。確か天魔は上位神以上の力持ってるんだよな」
「堕ちた神の集合体のようなものだからな。今の私達で勝てるかどうか」
「傀神の力は流魔関係の力だ。まともにやり合うには明らかに力不足。ただ単純に力で制圧する他ないぞ、これ」
「……こうなったら、竜神に頼るしか」
 聞いたセーランは驚きを隠せず、奏鳴の方を向く。
 確かに竜神の力は強力だ。しかし、今の奏鳴にそれが扱えるだろうか。
 竜神の力で何年もの間苦しみ、その上で今に至。たった数日前の話しではない。
 自身を苦しめていた力に向き合えないとは思っていないが、まず扱えるかどうかが問題だった。
 如何に強力な力も、扱えなければ無意味。
 そう。奏鳴が竜神の力を抑え切れず、暴走した時のようになってしまえば意味が無いのだ。
 扱えなければ何も出来無い。
 無駄に他人を傷付け、自分も傷付き、最悪へと突き進んで行く。
 解っている筈だ。セーランは心配で、怖かった
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