諦観の元に
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ないですんだ。きっと独りよがりのままじゃ今回の報告を聞いて壊れてただろうな。心配して来てくれてありがとう」
目の下の隈もすっかり取れて、最近は落ち着いた様子だった秋斗さんが苦笑しながら言葉を紡ぐ。
いつの間にか四日に一度、他の人達には秘密のまま皆で部屋に集まって寝る事が決まっていた。秋斗さんはもの凄く拒否していたが、結局雛里ちゃんに頼まれると断れないようで押し切られていた。代わりに、寝台を少し広めのモノに変える事で妥協案を出したけど。
実の所、雛里ちゃんの恋の応援の意味合いも含んでいるのは内緒だったりする。
今は予てより危険視していた幽州の戦が始まった事で、この人が無理をしていないか確認するために集まっている。
仕事が終わり次第あわあわと慌てながら私達の元に来た雛里ちゃんは、秋斗さんの様子に安心したのか少し落ち着いていた。
「でも秋斗、まだ桃香は一段上っただけよ。これから先の事も考えてるんでしょうね?」
お茶を飲み、大きく息を吐き出してから厳しく注意する詠ちゃんの真意は彼も良く分かっているようで、
「ああ、ここから本格的に変えて行こうと思う。これくらい大きな決断が出来たんだし、きっともう話しても大丈夫だろう。
だが、今の桃香の精神状態じゃあ近いうちには無理だな。暫らくは様子を見よう。幽州の戦、それと徐州の防衛がある程度落ち着いた頃でないと不安が残る」
しっかりと先の事を考えていた。詠ちゃんは満足したように少し頷いた。
「それで? 朱里と話し合った結果、徐州の防衛の件はどれくらい話が進んだんだ、雛里?」
「袁術軍の動きが定かでは無いのでまだ土台構築程度ですが、秋斗さんと鈴々ちゃんはまず先に国境から少し離れた拠点へ物資輸送し、より近い城で駐屯して頂く形になります。
急な物資確保は未だ現状では不可能なため、徐々に輸送致します。他の動きは……やはり諜報能力が違うためどう行動を起こすにも時間が掛かりそうです」
秋斗さんに問われた雛里ちゃんはつらつらと答えを並べて行ったが最後にしゅんと落ち込む。余りの落ち込み様に帽子まで下がって見えた。抱きしめたくなったけど、どうにか我慢しよう。
「了解。もし何かあれば早馬をくれ。こちらもすぐに動きは伝えるから。曹操については……多分詠の予想通りになったんだろう。俺達が動く事も出来ないしそんな暇もないから諦めるしかないな。とりあえずはこんなところか」
これで戦の話は終わった、とばかりに彼は一つ息をついて椅子に少しもたれ掛った。
覚悟していたとはいっても、やはり精神的な疲労はかなりあるように見える。
「お疲れ様です。楽観視しているのかもしれませんが公孫賛さんの騎馬軍はお強いと聞きます。霞さ……神速の張遼相手に抑え込んだとも。なら希望を持ってみてもいいのではないでしょうか?」
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