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第十九話 乙女達の聖戦
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応し始めた二人をして絶句する光景が教室には待っていた。
「なっ……」
「こ、これはさすがに……」
自分達の机を見て、引き攣った表情を隠せない紫苑と楯無。
そこにあるのは……巨大なチョコのアーチ……とその下でプルプルと震えてるフォルテ。
正確には紫苑と楯無の机の上に積まれたチョコの山が斜めになり、それぞれ頂上が繋がってアーチ状になっているのだがどういう物理法則でその形を保っているのか理解できない。紫苑の机と楯無の机の間にフォルテの机があるので、その大きさは言わずもがな。
ちなみにフォルテがなんでそんな危険地帯に未だ座っているのかというと、紫苑に会えるのが楽しみで早めに教室にきたところ、早起きの反動で眠気に負けてしまい机に突っ伏して寝ていた。気づいたらアーチが完成していて動けば崩れそうで動けなかったのだ。
さらに余談だが、チョコアーチはチョコの数が増えるに従いそれらを積み始めたものの、途中で面白くなってきて止まらなくなった有志諸君の悪ノリの賜物である。周りではその下手人たちがいい汗掻いたとばかりに満足げな表情を浮かべている。
「あ、し、しの……」
入口に二人の姿を見つけたフォルテは一瞬、安心した表情になり声を出すもすぐにかき消された。彼女の頭上から崩れ落ちてくる圧倒的物量によって。
「フォルテさーん(ちゃーん)!」
代わりに教室に響くのは、二人の悲痛な叫びだった。
ちなみに、二人の手に渡ったチョコの数は学園の全校生徒の数より遥かに多いのだが誰もそのことには触れなかった。
「チョコこわいッス、チョコ怖いッス、チョコ恐いッス」
その後も囲まれたり質問攻めにあったりと大変な紫苑だったが、なんとか授業を終えて今は久方ぶりの生徒会に顔を出している。チョコで窒息しそうになったフォルテは未だこの有様だ。今も生徒会室の片隅で蹲って震えている。結局彼女とはまともに話せず、本当の意味で再開を果たすのは翌日だった。
「よう、元気そうで安心したぜ。ったく、久しぶりの登校だってのに災難だったな?」
「ご心配おかけしました。ダリルさんも……大変みたいですね」
そう言いながら紫苑が向けた視線の先には……彼らほどではないにしろ紙袋に入っている大量のチョコ。ダリルも実はファンが多く、特に去年は二人がいないこともありかなり人気があった。しかし近寄りがたい雰囲気から直接渡されることは少ないのだが。
「虚さんも、ご迷惑おかけしました」
「いえ、ご無事でなによりです」
そっと、会話の途切れたタイミングでお茶を差し出してくれた虚にも改めてお詫びをする。彼女は楯無について、紫苑の捜索にも深く関わっていた。楯無の指示で、というのもあったかもと考慮してこのような言い回しになったが、虚
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