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第十九話 乙女達の聖戦
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う漏らす。
「何って、今日は何日だか覚えてる?」
「えっと、二月十三日だよね」
「明日は何日?」
「二月十四日?」
「……はぁ」
楯無さんが僕の答えを聞いて嘆息するも、いまだピンとこないでいた。ん、待てよ。よく考えたらその日って……。
「あ、ヴァレンタイン? そっか、お世話になった人にチョコとかって渡したほうがいいよね、友チョコっていうんだっけ? 女の子同士でもやり取りすることあるんでしょ?」
「やめなさい! あなたは明日絶対誰にもチョコなんてあげちゃだめよ……そんなことになったら下手したら戦争が起きるわ」
「……は?」
何を言っているんだろうこの人は。平和……とはいえないけど、ただの学園でなぜ戦争が起きるというのか。でもまぁ、男の僕が作ったりしてチョコを用意するのは抵抗があったから作らないほうがいいって言うなら気が楽だけど。
「いい? あなたが明日から戻ってくることはもう学園中に知られているわ。今まであなたがいなくなっていた分の蓄積されたものが……明日、一気に爆発することになる。どれほどのものになるか想像できないし、したくもないわ」
う〜ん、楯無さんが何かを恐れるように説明してくれるけどそれも要領を得ない。僕がいなかったことで、みんなを心配させてしまったのはわかるから、なおさらお詫びの意味も込めてチョコが丁度いいとも思ったんだけど。
「あなたは自分の置かれている状況を理解していないの! あなたがいなくなってそのしわ寄せが私にきたのよ!? まったく、毎日下駄箱にあふれるラブレターにプレゼント。常に誰かの視線を感じるし上級生にまで楯無様やらお姉さまやら言われる身にもなってほしいわ」
話を聞く限り、最初のうちは涼しげに対応していた楯無さんもあまりの対応の増加ぶりに身動きが取れないほどだったらしい。今までは生徒会長の座を狙ってからまれることはあっても、ここまで露骨にアプローチを受けることはなかったとのこと。
「はぁ。二人いたときは近寄りがたいとか、遠巻きに見ているだけで満足してたけど紫苑君がいなくなったことで行き場に困った感情の矛先が私にきたみたいよ」
それは彼女に迫った一人に聞いた談とのこと。
「そ、それは重ね重ね申し訳なく……って僕に本当にそんな人気があったのかなぁ。気のせいだと思うけど」
「もういいわよ、明日になればわかるから。いい? 告白まがいのことされたら絶対に曖昧な返答はだめよ? 肯定と取られるような発言は特に。かといって、傷つけるようなこともだめ。信仰に近いものが翻ったときはかなり性質が悪いものになるから」
それはかなり難しい気が……。傷つけないようにハッキリ断れ? どうすればいいのさ。
「いつものあなたの詐欺師まがいの話術ならなんとかなるでしょ。
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