序章 手を取り合って
第3話 闇の書より愛をこめて
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クはパジャマ姿になっており、汗でぐっしょりしていた。
ポイズンクッキーのせいかとも思ったが、それだけではない。
(久々に、昔の夢をみたな)
みんなと出会ったあの日のことは、あまり思い出さないようにしている。
いや、あの日だけではない。昔のことを思い出すのが、怖い。
思い出そうとすると、父の笑顔がちらついて、あの幸せな日々を失った喪失感に襲われそうで――怖い。
だから、思い出さない。
原作について考える。
すべてを失うと同時に、『原作知識』、『魔法の力』、『夜天の書』を手に入れた。
原作――駒王町が舞台となる「ハイスクールD×D」という作品は、バトルものの皮を被ったラブコメだったはず。
ハーレムとおっぱい成分が90%くらい占めていたように思う。
ただし、三大勢力と呼ばれる、天使・堕天使・悪魔陣営がドンパチやっているので、油断はできない。
現に、父ははぐれ悪魔に殺されたのだから。
原作に積極的に関わらなければ、自衛程度の戦闘で済むはず。
ならば、原作とは距離を置いた方がいいかもしれない。
しかしながら、「夜天の書」をつけ狙う不届き者が現れる可能性は、残念ながら非常に高い。
あえて、原作に関わることで、予期せぬ事態を避けられるかもしれない。
来年から原作の物語が始まる。
リアス・グレモリーや兵藤一誠といった原作の人物がいることは、確認済み。
ただし、接触は避けている。
原作知識のアドバンテージを活かすには、なるべく原作キャラと関わらないほうがいいだろう。
もっとも、グレモリー眷属とは「仕事」で何度か一緒になっているのだが。
非常に悩ましい問題である。
でもいまだけは、家族とともに過ごす日常を大切にしたい。
口々に無事を喜ぶみんなを見ながら、苦笑しつつ思った。
あ、シャマルは罰としてご飯抜きだから。
なぜ、昔のことを思い出さない――――いや、『思い出せない』のか。
ボクは何も疑問に思うことはなかった。
◆
暴走した闇の書を防ぐため、ギル・グレアム提督は、同僚のクライド・ハラオウンごとアルカンシェルで消滅させるという苦渋の決断をせざるを得なった。
己の非力さを嘆きつつ、震える声で、アルカンシェルを放つよう命令。
史上最悪のロストロギアである闇の書を――――永遠に葬り去ることに成功したのだった。
しかし、一番驚いた人物は、グレアム提督本人だっただろう。
当時は、無限転生機能によって、闇の書は新たな宿主にもとへ転移したものと、誰もが思っていた。
その後。紆余曲折の末、闇の書が次元世界より、姿を消したと確信できた。
そのとき、彼は、英雄としてはやしたてられた。
だが
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