序章 手を取り合って
第3話 闇の書より愛をこめて
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『転生か、憑依か、現実か』
自問すれど、答えが出ぬまま、お子様ライフを送るお気楽幼女。
――――その名は、「八神はやて」
彼女は、前世の記憶を持つだけの、ちょっぴり変わった女の子。
明日は、大好きなお父さんと祝う9歳の誕生日。夜中に目覚めた少女の前には
――――異形に殺された父の姿が広がっていた。
日常が非日常に塗り潰されたとき。
夜天の王は覚醒し、異世界の動乱に巻き込まれていく。
彼女の望みは、小さな幸せ。ただ家族と暮らすこと。
悪意に満ちた世界で、少女は何を願うのか。
慈愛に満ちた心優しき主を、騎士たちは守りきれるだろうか。
修羅に変わりし夜天の王を、騎士たちは抑えきれるだろうか。
最後に微笑むのは、神か悪魔かそれとも――――
◇
高校生活に慣れ始めた6月4日。
ボクは16回目の誕生日を迎えていた。
ハッピバースデーの歌を歌い、ろうそくを吹き消す…のだが、17本のろうそくは多すぎやしないか。
ケーキそのものが、まるで燃えたようにメラメラとしている。
結局、一回じゃ吹き消すことができず、ちょっとショックだった。
誰だ、ろうそくを立てたの?――シャマル?なら仕方ないね。
「このケーキ、ギガウマだぜ」
ヴィータが嬉しそうに感想を述べる。
リインフォースと一緒に作った手作りケーキ。自信作である。
手料理をおいしそうに食べてくれる姿をみると、心がほっこりする。
「はやてちゃんは本当に料理が上手よねえ――誕生日くらいわたしが代わりに料理したっていいのに」
「おい、それはぜってーヤメロ」
隙があれば料理をしようとするシャマル。
彼女に料理をさせてはいけない。八神家の総意である。
ヴィータが渋い顔をして、やめてくれという。
ボクや他の家族も渋面を作っていると思う。
シャマルはオホホとわざとらしい声をあげて黙った。
うん、あの顔は諦めてないな。
彼女曰く、わたしは料理が趣味、らしい。
毒物の間違いじゃないだろうか、と思う次第である。
その後、誕生日プレゼントをもらう。
シグナムからは、欲しかった小説。
ヴィータからは、うさぎのぬいぐるみ。
ザフィーラからは、犬型のヘアピン。
シャマルからは……手作りクッキー。
おい、シャマル、おまえ全然反省していないだろ。
自信作だから大丈夫だって?まあ、見た目はおいしそうだけど。
よし、そこまでいうなら食べてみよう。
周りの皆は悲痛な面もちだが、シャマルは自信たっぷりの顔をしている。
ごくりと唾をのむ。
「いただきます」
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