at NIGHT 7th
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「…………て、……きて起きてっ! 雪村君!」
「うおっ」
何もない世界から出られたかと思ったら、いきなり耳元で大きな声がした。
誰だ? なんて思いやしない。分かっていたから。俺のそばにいてくれたのは――――
「よ、夏目」
意識が朦朧として、頭がガンガンして、視界がはっきりとしない。
けれどそこに夏目がいることは分かっていた。
「あなた、いきなり意識を失って、そして、何度呼びかけても目を覚まさなくて、こんな熱帯夜なのに身体はどんどん冷たくなって、わたしどうすればいいかわかんなくなっちゃったのよ? すっごく心配したんだから……っ」
そうして夏目は目から大粒の涙をぽろぽろ流し始めた。
「おいおい夏目、俺は夏目が呼びかけてくれたからここに戻ってこれたんだ」
「ええ、ずっと呼んだわ。起きて、雪村君って。それしか出来なかったもの」
「いやいやリアルでの話じゃなくてさ。あっちでこっちに戻る方法を教えてくれたじゃないか」
「え……?」
夏目はよくわからないといった顔をしている。もしかしてあれは夢だったのだろうか? 確かに非現実的ではあったけれど……。
――でも、直感で分かる。あれは夢なんかではない。俺と夏目のあのやりとりは確かにあった。
「ほんとに覚えてないか? お前がなんか術式解放? とか言って魔法ぶっ放して、俺がそれに巻き込まれて……」
「ちょ、ちょっと待って! 術式解放? そんなこと言うはず無いじゃない!」
術式解放という言葉に過剰に夏目は反応した。
「でも確かにお前はそう言った。そしたらものすごい魔力がお前に集まって、それがものすごい勢いで解放されたんだ」
「……有り得ないわ。もし私がそんなことをしたらこの街ごと吹き飛ぶわよ? でもこの通り実際は学校に少し傷が付いている程度じゃない」
おいおいおい、街が吹き飛ぶってどんな威力なんだよ。
気になったのでそもそも術式解放とはどのようなものなのか聞いてみた。
「術式解放って言うのはね、自分にため込んでいる魔力を一気に解放する技よ。とても大きな威力を持つ代わりにとても体力と精神力が消耗するの。だって生まれてから今の今まで貯めこんできた魔力……いわば貯金をを切り崩すことだから」
「もしそうだったら自分の魔力残量を確認してみたら? そしたら術式解放をしたのかしてないのかわかるんじゃないか?」
夏目はそうね、と頷いてからハッと声を出し右手を前にかざした。手の方向数メートル先に竜巻が起こる。その竜巻を見ながら夏目の顔はどんどん険しくなった。
「威力が弱まっている……。ねえ雪村君、私やっぱり術式解放していたみたいだわ」
どうして……そんなことした記憶が無い……、な
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