暁 〜小説投稿サイト〜
パンデミック
第四十一話「本部防衛作戦後」
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
………」

「鎮痛剤、急げ!」

「ベッドがもう満杯だ!」

「なら本部内からソファーをありったけかき集めろ!」


医務室の中は、まるで作戦前のような喧騒に包まれていた。

医師達も兵士達も、忙しく動き回り治療に勤しんでいた。
治療した兵士の中には、一歩間に合わず死んでしまった兵士も少なくない。

しかし、一番辛いのは"兵士の最期"を見ることではない。
もちろん、それも十分辛いが………


「クソ、感染している……」

負傷した兵士には、感染者に噛まれた兵士が複数人いた。
そういった兵士達は、発症前に………殺さなければならない。

残念なことに、コープスウイルスに対して有効なワクチンや治療法は確立されていない。


「…………感染した兵士を医務室の外に」


医務室の外に、感染した兵士達が連れ出された。





連れ出された兵士達は、第2装甲壁内まで連れられた。

「グゥ……オオォ…………」

一人の兵士の様子がおかしくなった。ただの唸り声というより、獣のような唸り声だった。

「まずい、発症するぞ!」

「グゥォォ、早ク……殺セ………」


感染した兵士が、朦朧とした意識の中で、「殺せ」と頼んだ。



「……………すまない……!」


兵士が武器を降り下ろし、感染した兵士の頭は切り裂かれた。











「あぁクソ………もっと長生きしたかったなぁ………」








感染した兵士の一人が、そう呟いたのが聞こえた………










兵士達にとって最も辛いのは"仲間を殺す"ことだ。

たとえ感染していたとしても、仲間は仲間だ。それが親友だとしたら、尚更辛い。













本部防衛作戦から23時間後………


全兵士の治療。亡くなった兵士の遺体回収。感染者の死骸処理。
そして、感染した兵士の処理。その一切が完了した。


感染した兵士を"処理"した兵士達は、泣きながら顔を伏せていた。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ