第T章:剣の世界の魔法使い
心意
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キリトの二刀と、ヒースクリフの魔剣が激突する。それは激しいエフェクトフラッシュと共に、弾かれあう。
はず、だった。
しかし、結果は大きく異なった。ヒースクリフの魔剣と激突したキリトの黒い剣――――《エリュシデータ》、その刀身の上半分が、まるで最初から何もなかったかのようにごっそりと消滅してしまったのだ。
「なっ!?」
「どうしたんだねキリト君。こんなものかい?」
ヒースクリフの追撃が続く。剣で防御することができないキリトは、後ろにバックステップで回避するしかない。しかし、ヒースクリフの剣は自由な剣閃でキリトを追う。キリトに剣がかする。傷を受けたところが、ごっそりと消滅し、キリトの体を構成しているポリゴンの内部構造が見え隠れする。
「ぐあっ……」
キリトの体を、本来なら感じないはずの痛覚が走る。どうやら心意の力には、あらゆる防御手段・システム制限が効かないらしい。
退くキリトに、ヒースクリフは薄く笑いかける。
「システムの加護を過信してはいけないよ、キリト君」
「ふ……それを言うならあんたも自分の力を過信しない方がいいぜ」
「……何?」
「せあっ!」
ヒースクリフの後ろから、コクライが切り込む。至近距離で抜刀。本来の斬撃の威力に加え、《魔剱》の濃縮された威力が加わり、たとえ格上のプレイヤーであれと言えども、普通なら容易に切り裂くことができた。そう。普通ならば。
「ふむ。いいねらいだな……だが、惜しいな」
今のヒースクリフは普通ではない。ヒースクリフの体を真紅のエフェクトが蓋う。ぶれた様に高速で移動したヒースクリフの左手が、装備していた十字盾を構える。そして、その表面には闇色の過剰光……
「《心意》か!?」
「正解だ――――返すぞ」
ヒースクリフの盾に阻まれた刀は、あっさりと弾かれてしまった。それだけではない。
「がはっ!?」
コクライの体に衝撃。HPが大きく削れる。コクライの刀の威力が、そのまま弾かれてきたのだ。
「くぅ……っ」
「大丈夫か、コクライ!」
「お前こそな」
口々に言い合うキリトとコクライ。ヒースクリフは自然体をとる。
「どうかね、その身で《心意技》を受けた感想は」
「どうしても聞きたいって言うなら答えてやるよ」
コクライの皮肉に、苦笑するヒースクリフ。再び険しい表情をとり、剣を構える。ヒースクリフの魔剣が、悲鳴を上げる闇のオーラを纏う。
「さぁ、もう一度行こうか」
***
「《マキシマイズマジック・ジャッジメントライツ》!!」
ドレイクの杖が、白い光を発する。限界まで強化された詠唱ショートカットにより、一瞬で|魔法術式《マジック
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