第T章:剣の世界の魔法使い
心意
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スキル》が放たれる。
すでに《ホロウ・アバター》の内半分のHPをかなり削っている。が、勝負はなかなかつかない。両者ともに厄介なのが、お互いを守ろうとする行動、驚異的な自己再生、そして、《無属性》というモンスターカテゴリだった。
「黒龍王!!」
『任せろ!!』
黒い巨龍が、がらんどうの巨人を引き裂く。鮮血の様に赤いエフェクトをまき散らして、ホロウ・アバターが姿を薄れさせる。しかし、それは撃破ではない。鮮血をまき散らしながらも、別の場所に再び姿を現すローブ姿。HPは大きく減っているが、決して倒しきれてはいない。
『グルがぁッ!!』
黒龍王が吠え、咢を開く。あふれ出た真紅の炎ががらんどうのローブを焼いていく。しかし、ホロウ・アバターもその何もない右腕を振り上げ、そこから闇色の波動をとばす。
「――――《マキシマイズマジック・ダイヤモンドストライク》!!」
氷でできた槍が、数百を超える数ローブ姿に迫る。HPを大きく減らし、レッドゾーンまで陥れることに成功するが、傷ついた仲間をかばうかのようにもう一体のホロウが姿を現す。傷ついたホロウ・アバターはその姿を薄れさせ、消えた。再び奴が姿を現した時には、そのHPは全回復しているだろう。
すでにこのような循環を二回ほど繰り返している。これではじり貧だし、延々と戦っていればドレイクの《魔法》に限界が来てしまう。
ドレイクの放つ《魔法術式》は、はたから見ると代償の無い便利な遠距離攻撃にしか見えない。だが、実はそれは違う。ドレイクの《魔法》は、ある多大な代償を支払って起動されているのだ。
それは、《エネマリア》のモンスターたちの命。彼らにはHPとは似て非なる《ライフ・ポイント》というゲージが用意されている。ドレイクは彼らからこのRPを貰い受けることによって魔法を放っている。当然、マジックスキルの威力が高ければその分彼らの魂も早く擦り切れていく。しかし、RP消費の少ない威力の低いマジックスキルでは、ホロウ・アバターのHPを減らせない。それでは本末転倒である。
もちろん、RPを消費しないで起動できるマジックスキルは存在する。しかし、それらは《超位魔法》と呼ばれる最高位の魔法であり、打てる回数に制限がある。また、どれだけフルブーストしても、詠唱がかなり長く残ってしまう。
だから。ドレイクは、心の中で泣きながら、《エネマリア》の魂を借り受けていく。できるだけ、できるだけ、彼らの魂を減らさないように、自らの《心意》で願いながら。
「――――《マキシマイズブーステッドマジック・グリームホープ》」
黄金の光がドレイクの杖に宿る。次に放つマジックスキルの威力を最大まで引き上げる術式。これで、ホロウ・アバターの連携を引き裂く。
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