序章 手を取り合って
第2話 最初の願い≠最期の願い
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「わたし」と言う分には、「僕」と「わたし」のどちらを使うのか迷っているのねぇ、と、父には微笑ましく思われていたようだ。
そんなこんなで、「僕」「俺」「わたし」の境はとても曖昧だった。
複数の人格が存在するわけでもなく、頭を切り替えるときに自然と口調が変わってしまう程度。
日常生活において特に支障はなかった――と思う。
――――前世の知識とやらは便利なものだ。
それが、当時の「僕」の認識だった。
あの日までは、そう思っていたのだ。
(なぜ、いままで忘れていたのだろうな)
思い出したときには、もう遅かった。
なにもかも、終わった後だった。
これはもっと後の未来の話。
何もかもが手遅れになったときの話。
救いがあるとしたら、それは――。
◇
ぱちりと目が覚める。
ふわあ、とあくびをしながら、ベッドから身を起した。
何か悪い夢をみていたような気がする。
思いだそうとしても何も思い出せない。
ふと、頭をよぎったのは9つの青い石。
あれは一体――と思い出そうとすると頭が痛くなった。
「マスター、お目覚めですか?」
声をしたほうをみやると、そこにいたのはリインフォース。
そう、リインフォースがいた。
アニメ作品「魔法少女リリカルなのは」では、リインフォースは、消滅してしまう。
が、こうして目の前にリインフォースがいる。
彼女もボクの大切な家族である。
「顔色が優れないようですが、大丈夫ですか」
「大丈夫、夢見が悪かっただけ。おはよう、リインフォース」
心配そうに体調を訪ねてくる。
細かな気配りができて、家事全般を任せられるリインフォースは、八神家のお母さん的存在だと、勝手に思っている。
ちなみに、家事はリインフォースとボクで分担している。
他の家族に任せると、まあ、大惨事になったからねえ。
ヴォルケンズは戦闘では頼りになるが、家事はだめだめだった。
シグナムが掃除すれば、家の中が滅茶苦茶になり。
ヴィータが洗濯すれば、制服がしわしわになり。
シャマルが料理すれば、毒物が出来上がる。
ザフィーラは、まあ、ペットだし。
戦闘ではあんなに便りになるのに……マジ脳筋。
ヴォルケンズ――ヴォルケンリッター、日本語に訳すと雲の騎士。
実は、彼女たちは、人間ではない。
過去の文明の遺品――すなわちロストロギア――の『夜天の書』に付属した守護騎士であり、プログラムである。
リインフォースは彼らを統括する管制人格という存在だ。
人間ではないとはいえ、ボクは彼女たちを本当の家族だと思っている。
夜天の書については、また後で。
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