序章 手を取り合って
第2話 最初の願い≠最期の願い
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ず平然と過ごしていた。
今思えば、ずいぶんのんびりとした性格だったと苦笑してしまう。
知らない知識は、一度に全てが蘇るわけではなく、断片的にゆっくりと浮かび上がってきた。
これも、頭が混乱しなかった理由だと思われる。
おかげで、「僕」は、周りから「ちょっと大人びた子ども」と認識され、自由に振る舞うことが出来た。
成長してからは、これは前世の記憶ではないか、と考えるようになった。
ただ、困ったこともあった。
「前世の僕」は、「俺」という言葉を使っていたようで、前世の知識を使って考え事をしているときは、つい「俺」口調になってしまう。
調子にのって、俺俺言いまくっていたら、父に泣かれたので、なんとか改めたが、それでも、思考は、男性寄りで「俺」だった。
きっと「前世の僕」は、男だったのだろう――当時は、そう思っていた。
――――おかげさまで、身体とのギャップには、なかなか慣れることが出来なかった。
(割り切った今でも、たまに戸惑うことがあるしね)
困りごとは、もうひとつある。
「僕」はなんと、複数の物事を同時に処理することができた。
至極自然とできていたために当時は気づかなかったが、異常な才能だったと、今なら分かる。
複数の物事を並列して処理する――マルチタスクというらしい――とき、「僕」ではなく、「わたし」で考えることが多かった。
ちなみに、前世の知識と併用する場合、「俺」と「わたし」の両方を使っていた。
さらに、マルチタスクを利用することで、コンピューターもびっくりの演算速度を誇るようになった。まさに、電卓要らず。
マルチタスクを頻繁に利用するようになってから、気づいたことがある。
どうも、体内に宿る「不思議エネルギー」を操作しているようだった。
一度、意識してしまえば、体内の「不思議エネルギー」をはっきりと認識することができた。
どうやら、心臓あたりに、動力機関?――後に、「リンカーコア」だと判明した――があって「不思議エネルギー」を放出しているようだった。
この「不思議エネルギー」は、大気中に微量に含まれているものの、他の人間は、一切保有していなかった。
当然、リンカーコアは、体内に存在すらしていない。
探究心を刺激されたが、所詮年齢一桁の幼女にできることは高が知れていた。
性質も、運用法も謎だらけである。
将来、必ず解明してみせる。と、闘志を燃やしつつも、「不思議エネルギー」が、マルチタスクの補助を行っていることしか分わからなかった。
大変悔しい思いをしたものだ。
しかしながら、望まずとも非日常と邂逅することで、「魔力」「魔力素」と呼称されるエネルギーだと判明することになる。
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