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『八神はやて』は舞い降りた
序章 手を取り合って
第1話 だめっこどうぶつ
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から、何百何千と模擬戦をした中で初である。
 内心によによとしながら、ゆるむ頬をとどめる。


「シグナムの剣にシールドの展開が間に合ったからの勝利だろうな」

「うん、紫電一閃にはいっつもやられていたからね。強度を犠牲にしてシールドの展開速度を速めたんだ」
 

 言葉にするのは簡単だが、これがなかなか大変だった。
 紫電一閃の速さに間に合い、そのうえある程度持ちこたえる強度が必要だった。
 速さを重視すれば強度がおろそかになり、その逆もまた同じ。
 まさに血と汗と涙の結晶なのである。
 ボクがドヤ顔してもしかたがないだろう?よね?
 とはいえ、全力で戦うと一番強いのはボクだったりする。
 技術を磨くために、普段はリミッターをかけているのだ。


「発想はいい。ただ、次はシグナムも対応してくる。二度目はないぜ」

「はーい。わかっていますよ、ヴィータ姉」


 褒めてあげつつ、しっかりと釘を刺すことを忘れない。
 ヴィータのこんなところがお姉ちゃんっぽい。
 伊達にヴィータ姉と呼んでいない。
 普段のお姉ちゃんぶる姿には微笑ましさを感じるが、やっぱり頼りになる姉のような存在――それがヴィータ姉である。


「ところで、シグナムはどこにいったの?」

「外で鍛錬しにいった。負けたのがやっぱり悔しんだろうな」

「げえ、いまよりもっと強くなったらまた勝てなくなるよ……」

「あたしたちが負けたら、はやてを守れない。だから、たとえ相手がはやてだろうと負けるわけにはいかないんだよ」

「ふふ、嬉しいけど、ボクは守られてばかりの主じゃないよ」


 ヴィータに強気の視線を送ると鼻で笑われた。
 明日の模擬戦は本気のヴィータが相手らしい。
 藪蛇だったか……。
 いろいろあるけど、ボクたち八神一家は元気に暮らしています。





 さて、ボクこと『八神はやて』には秘密がある。
 それは――前世の記憶。


 その記憶によれば、『八神はやて』はとあるアニメの登場人物だった。
 アニメの名は「魔法少女リリカルなのは」。
 無印、A's、Strikersの三部作になっており、そのうち無印以外に出演している。
 なんと、三人いる主人公ズの一人らしい。
 まあ、人気はほかの2人……確か『白い魔王』とか『フェイトそん』だっけ?には及ばないそうだが。
 ボクは、アニメの登場人物になってしまったようである。


 前世の記憶ときくと、とても便利なように思える。
 が、実際は虫食いだらけで、自分が何者だったのかはほとんどわからない。
 この「見知らぬ記憶」が、おそらく前世の記憶だろう、と見当がついたのも成長してからである。  
 ボクは、二次創作にありがち
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