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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-10
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時間という概念が薄れて、ただゆっくりに一秒一秒がまるで惜しむように、悔いるように進んでいく。そして、そう感じられる私の目には、いやというほど克明に目に焼き付いていく。


でも。でも……。――――私は見たくなかった。何があっても、あれだけは見たくなかった。絶対に見たくなかった。というより、誰があれを見たいと思う者がいるのだろうか。…………自分の愛する人が、体を折り曲げて、宙に浮いて、地に伏せる姿など。
胸から血を流している。勢いが強すぎて噴き出しているように見えるぐらいだ。


だけど、蓮は銃口を黒いものに向けていなかった。左利きであるから左に銃を持ってい構えていたのだが、撃つ瞬間に左に銃口を向けていた。
それは有り得ないことと私は思う。けれども、もしかしたらと左側――――IS学園の方を見た。より正確にいうのであらば、狙撃手であるセシリア・オルコットがライフルを構えて狙っていた位置を。肉眼では見えないので、ISのハイパーセンサーで倍率を上げてみる。
そこには信じられないといった表情で目を見開いて額から血を流しているセシリアが後ろに倒れていくところだった。金髪が風に靡いている。


蓮は、一瞬にしてセシリアに狙いをつけて銃――――ハンドガンの限界射程距離ギリギリにいるセシリアの急所を撃ち抜いた。
近くにいる黒いものよりも、遠くにいる狙撃手を排除した。しかし、どちらを選んで撃ってもどちらかに撃たれるのだ。


私は血だまりに伏す蓮のもとに駆け寄った。それにしても私が誰にも見えないというのは本当らしい。私の体をすり抜けるように後ろから束さんが駆け寄っていったのだから。
幽霊? 思念体? そんなこと、今となってはどうでもよかった。今一番大事なことは蓮が撃たれたということだ。


私は蓮を撃った黒いものを睨みつけるようにして顔を向けた。
すると、黒いものが、その存在を隠す様に姿かたちを隠していた闇のような黒が、無くなっていく。まるで、影が太陽に照らされて無くなっていくような感じで。そしてそのおかげで蓮の撃ったやつの正体が分かる。
でも私は、心の中のどこかで分かっていたのかもしれない。ある程度予想をつけていたのかもしれない。驚きはなかった。やっぱりという方が圧倒的に大きかった。


蓮を撃ったやつは、もう疲労困憊といった感じで、もう立っているのもやっとみたいな印象を与えられる。拳銃を握りしめている右手もカタカタを振るえて、まともに狙いを着けられなかった筈であるが、偶然かどうかは私には分からない。けれども、やつが放った銃弾は、寸分違わず蓮の胸に吸い込まれるように撃ち抜いた。
そいつの右手には、いまだ煙が立ち上る銃を握っていた。そして、血だまりに倒れ伏す蓮を見下していた。何かをトチ狂ったように呟いていたが、すぐに何も言わな
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