例えばこんな裏方の仕事にもやりがいはある
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行くだけよ?行き先はお天道様に聞きな!」
「真面目に答えないとIS使いますよ」
「御免。真面目に答える・・・」
センパイはどこか遠い目をして空を見上げた。
「昔っからさ。人とおんなじことやって生きていくのってヤダな〜って、漠然と思ってた。それが嫌でIS学園に入ってみたけどさ。学園でもやっぱり入ってしまえば周りのみんなとおんなじになっちゃって・・・」
人は規則、法則、習慣に縛られる。それが社会の掟であり、不適合者はその輪から弾きだされるからだ。例えIS学園と言う世界的に特殊な場所に来たからと言って、底で与えられる条件は結局周囲に合わせたものになる。特別が普通になってしまう。
「それでも最初は楽しかったけどね?ほら、IS学園って将来の進路で本当にIS関係の職に就けるのは20パーセントくらいでしょ?そこに食い込んだところでまたルールと周囲に縛られてさ。それって私の欲しいものと違ったのよねー」
そう言ってまたタコを頬張る。食べるか喋るかどっちかにして欲しいものだが、センパイは昔からそうだった。
「だから、取り敢えずIS学園で学んだ経験をまやちーに全て教え込んで学園からプリズンブレイク!って決めてたのよん。何も残さずに出ていったら学園に入った私を否定するみたいじゃん?だから可愛い可愛いまやちーには、覚えておいてほしかったわけ」
脱獄。このIS学園が監獄。それが、センパイの答えですか。私たちにとっての楽園だったここは、センパイにとっては・・・
「センパイは、ここが嫌いだったんですね」
「どーだろ?少なくとも人は嫌いじゃなかった。どっちかってーと型に嵌っちゃってる自分が嫌だったんじゃないかな?」
そろそろ現場に戻らなきゃいけない。まだいくつかタコの残ったトレーをセンパイに渡す。残念ながらこれ以上食べている暇はないだろう。センパイのトレーはとっくに空になっており、余ったタコは次の瞬間全てセンパイの胃袋に収まった。
「それじゃ、行きます。今日は会えてよかったです」
「がんばって、と言うのは私の流儀に反するわけで、ここは『覚えてろよ〜!』と言わせて貰おう!」
「何所の悪役ですかそれ・・・」
全く、何年間も人を悩ませておいてこれだ。相変わらずこの人は変わらない。
だが―――自分なりの返事くらいは返しておこう。もう言われるがままの人間ではないのだから。
「―――センパイ。私、センパイの事は尊敬してますけど・・・私はセンパイの記録係でも代理人でもないので。他の皆には自分で事情を説明してくださいね。私たちがここで出会ったことは、皆には伝えませんから」
「えーメンドイ」
「二つ返事ですか!?」
何年経っても先輩には勝てた気がしないな、と思い知らされたのであった。
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